※読み合い企画からのレビューです
主人公・シュウと、その恋人である悠が唐突に転移させられたのは、神のいない世界だった
しかし、襲ってきた魔物とそのどさくさで、シュウは悠を失ってしまう
怒りと悲しみに暮れるシュウは、悪鬼となり、この世界それ自体に復讐を遂げると誓う──という導入から始まる本作品は、主人公の主人公による主人公のための復讐譚だ
ある意味では言いがかり、八つ当たりのたぐいかもしれないが、グツグツと煮え立ったシュウの心は、そんな言葉では決して止まらない
世界を滅ぼすためには五人の魔王を殺す必要があるのだが、彼らは為政者であり、殺せば国が乱れることはわかりきっている
だが、殺すのだ
そうしなければ、自分が壊れてしまうと知っているから
本作の主人公であるシュウは、望んで悪を成す
そこに大義名分はなく、ただただ世界の破滅を目指しているだけだ
だが、読んでいると、これがまた不思議と気持ちいい
善なる存在が誰かを守るために剣を振るう作品も素晴らしいが、悪たる存在が無差別に人を殺す作品にもまた、得も言われぬ爽快感がある
恐らく、小市民である我々の代わりに、シュウが悪を成してくれるからだろう
また、シュウ自身も一本筋の通った男であり、主人公としての魅力に富んでいることも一つの理由かもしれない
いずれにせよ、本作は非常に面白い
ダークヒーローの復讐譚、是非一度読んでみてほしい