第4話

 目を覚ました俺は、ゲーム機を外して現実に戻る。

 口をぽっくりと空け、数秒の沈黙が続くと、無我夢中で両の手で頭を掻き回した。

 其れは、何故だ? とのシンプルな疑問が思い浮かぶと、二つの解答が近くのペットボトルで水分を補給している時に浮かんだ。

 てか、一日目にして死ぬとか、あり得ないだろ! 俺!

「まず一つ。俺が居た場所、もう一人誰かが居た」

 此の可能は大だ。あの時周りの確認をしてなかった俺が悪いと言えるだろう。

「次に、運だ」

 まずあり得ない答えだが、なくもない話だ。12桁もある電話番号を適当に打つなど、論外に等しいが、其れをずっとやり続けてたら、奇しくも誰かに当たるだろう。

 俺はお気に入りのノートパソコンを開き、疑問点を検索欄に記入して検索。


『《Digital Infinite Telephone》で死ぬ時』


 《Digital Infinite Telephone》のデスペナルティも気になるが、興味深いサイトを見つけた。

「《Digital Infinite Telephone》の良くある死亡。

 はーい。どうも! 初心者の諸君。此れを死ぬ前かあるいは死んだ後で理由を求めてる君に、是非見てもらいたい!」

 がタイトルの2ちゃんねる。

 顔も知らない人達が集まり、会話する中で、気になるのを見つけた。


『NPCが情報を売っている。またはプレイヤーがNPCに成りきっている。』だ。

 詰まりだ。

 俺に情報をくれたNPCは嘘の情報をわざと買わせた後、盗み見みた俺の電話番号を誰かに情報を買わせ、その売った奴が殺した、って所か。或いはNPCになりきった奴が金をせしめた後に俺を殺したかの何方かだな。

 ゲームの出来事を思い出し、反省点を見つける。

 そして一言。

「………凄い………」

 自分の無知、無力さよりも。相手の手口を褒めてしまう。可笑しい奴だと思われるだろう。だが《Digital Infinite Telephone》にはこう言った汚いやり方で来る奴がわんさかいるだろう。

 ならば、此方も他者の技術を盗む必要がある。

 此の《Digital Infinite Telephone》は、本当に侮れない。

 情報戦とは良く言ったものだ。

 まさかNPC迄もが敵に回る事があるなんて、一瞬の隙が命取り。

 俺は考える。

 余裕がない中、戦う仲間が居ない中、気がつくと隣には敵がいる中で、トップに行けるのだろうかと。

 他者の真似をしても、次はそうは行かないだろう。

 このゲームでは、トップランカーですら初心者に負ける事なんて稀だが有る。隙を見せたら、下克上をされる。

 見えない敵との戦いが、

「………だが、逆に出来ると考えれば良い」

 だってこのゲームは粗何でもあり。

 命令で他のプレイヤーの電話番号を聞き出す、又は少しの間スパイをしてもらうなど、利用価値は様々だ。

 然も、このゲームには『ハッキング』や『通話ジャック』などのスキルで身につくものがある。中には『スキル奪取』なんてもんがある。

 因みにこのゲームのスキルにはレア度とレベルがある。

 低いレア度のスキルは、効果が短時間しか続かないとか回数に制限があったりする。

 そしてレア度に比例してスキル奪取で奪える確率が低くなったりする。流石はレア度様々って訳だが、確率が低くなるだけで絶対と言い切れないのが痛いところだ。

 因みにスキルの中には固有スキルと呼ばれるものがあり、スキル奪取では奪えない代物で、一つしかない限定スキル。

 次にスキルのレベルだが、使用回数、又はスキルで倒した回数でレベルが一つ上がる。上がれば上がる程効果は増すが、MP(マジックポイント)の消費がちょっとずつ上がる。

 初心者にオススメなスキルが幾多も上がるが、中には『ランダム』と呼ばれるものがある。此れはガチャに似た感じで、マネーを支払ってランダムで出たスキルを手に入れる様だが、

「い、一回に五千マネー………」

 高い。できっかよ……。

 あ、でも初回プレイはタダなんだ。ラッキー!

 よーし、早速。っと行きたいが、デスペナルティを未だ見てなかった。


『デスペナはお金が盗られる事、ステータスの弱体化、十分間ゲームが出来ません』


「…………はぁ〜」

 俺は大きくため息を吐いた。

 お金がなくなるのも悲しいが、ステータスの弱体化は一番厳しいな。だって俺までレベル一だぜ? プラス所持金がなくなるとか、幸先がお先真っ暗じゃねーかよ。

 普通さぁ、初心者って言ったら適当に弱いモンスター倒してレベルをあげて、強い装備をそこそこ揃えてから、他のプレイヤーと戦うのが、定石ってもんじゃない?

 あぁ、でも。

 ステータスが弱体化しても、勝算はあるだった。

 電話番号。そう、まず金欠の俺がまずやらなきゃ行けない事は、ランダムでスキルを手に入れて、他者の電話番号を手に入れる事だ。

 あ、因みに死んで次のプレイには自分の電話番号が変わっているから安心。

 あ、十分経った。

「それじゃ、早速行きますか。セカンドプレイ!」

 過信はしない、隙を見せない!

 絶対に負けない!

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