曲芸師

星座を縫った天鵞絨の

夜の天蓋が掛けられた

<東京テント小屋>

ゴールデン街のネオンの

ちゃちな電飾は

触れるとチリチリ熱い


渋谷のスクランブル交差点を

三輪車に乗った犬が走り

その横をクマが玉乗りする

電線のうえを少女が綱渡りして

少年たちは新宿の歩道橋で

空中ブランコをする

小田急のショウウインドウ前では

泣き笑い顔の道化師が

スマホでジャグリングをしている


なんて滑稽な夜だ

明かりの消えないビルの

規則正しく整列した窓は

サラリーマンの水耕栽培

ブルーライトで育ってる

その虚ろな目は

老化した葉脈のように血走り

充血して

サーカスのような東京を見下ろす


大人は気づけない

彼らがサブリミナルに潜ませた

SOSのその文字に

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からっぽ宝箱 杜琴乃 @cotono_y

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