主人公は、由緒正しき家のお嬢様・嬉野《うれしの》直生《すなお》と、彼女に使える少年、正之守《まさのもり》幸大《ゆきひろ》である。
本来なら、ヒロインを妄信的に好きor守る的な主人公は、私は好きじゃないのである。設定の不条理さにムカムカするからだ。
しかし、本編はそうはならなかった。理由は――彼の秘密にある。
ぜひご一読あれ! もし彼だったら、と思うと、ドキドキしますよ。
人が死なない、いわば「日常の謎」は、事件の派手さがないゆえに伏線と謎の収束の巧みさが勝負になる。本編はそのポイントを見事にクリアしているだけでなく、誰もが避けて通れない「青春の痛み」が色鮮やかに描かれているのだ。
続編希望!