外伝

外伝ヘノ誘ヒ

 いらっしゃいませ。霊媒堂猫乃手へようこそ。

 コチラでは、本編よりも刻を遡った品を揃えております。

 春、黴雨、夏、秋……残すところは冬でしょうが、その前に少し一休みでも如何でしょう。

 お茶でも飲んで。菓子でも摘みながら。まぁ、大したもてなしは出来ませんが。

 さて。

 外伝、ですね。えぇ、昔話をここらで話しておこうかと思いましてね。

 秋の話までご覧になったならば、ついでにどうでしょう。

「如何にして、この霊媒堂猫乃手が出来たのか」

 その物語を。

 ……大した話じゃないんですがね。

 怖いのか、と問われればまぁそこは、それなりに。どれも奇妙な縁でしたし。

 前置きはこれくらいにしましょうか。

 まずは猫乃手が出来る前、吹山村へ向かう道中に起きた話。いわゆる、初仕事といった、そんなところでしょう。

 前に鬼灯の話をしましたが、少しだけ似ているやもしれませんね。

 刻は……えぇと、私が確か十八の頃でしたか。七年程前ですか。刻の流れとは早いものです。

 あの頃は、今よりも気性が荒くて、向こう見ずだったように思います。今もあまり変わらないんですけれど。


 では、語りましょう。

 あれは、まだ若い新月の宵――

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