第4話 みんなで一緒に暮らそう
亮介は小さな声で下を向いたまま話始めました。
「ママ、これは僕と『いすお』の秘密なんだ、しゃべっちゃいけないんだよ」
「り、亮介、えっ?どういうことなのお話ししなさい」
下を向いていた亮介に見かねて、『いすお』は諦めて話し始めました。
「パパさん、ママさん、私は亮介君が座っている椅子です。始めまして『いすお』
と言います」
「なんだって!椅子だって?そんなバカな」
「椅子だけどお話しができるんです。人間の気持ちもわかるんです。亮介君とは
すっかり友達になって・・・」
亮介はパパとママの足元にしゃがんでパパ達を見上げています。
「パパ、ママ、『いすお』を捨てたりしないで、大事な友達なんだよ、お願い
だから」
パパは、まだ信じられない様子で『いすお』に向かって話し始めました。
「い、『いすお』さん、あなたは本当に人間の気持ちもわかるんですか?
そうだとしたら亮介が何を考えているかわかりますか?」
「はい、亮介君は、私が椅子であるのに話ができることをパパとママが気持ち悪い
と思って私を捨ててしまうんじゃないかと心配しているんです。この土地に来て
初めての友達が私だって言っていました。亮介君と私はずっと友達同士でいたい
と思っているので二人のことは誰にも話さないと約束していたんです」
亮介はまた『いすお』に座り、背もたれのところを撫でながら下を向いたまま
です。
亮介が震えているのが『いすお』にはわかります。そして亮介の涙が『いすお』に
ポタリと落ちました。
パパは大きく息を吸ってから笑顔になりました。
「『いすお』さん、私達は本当に驚きましたが亮介と仲良くしていてくれることは
本当に嬉しいです。これからも亮介と良い友達でいてください」
亮介は立ち上がって『いすお』から飛び降りました。
「本当?パパ、ママ!」
「あぁ本当だとも。そうだ、『いすお』さん、あなたは亮介の部屋でなく
リビングでみんな一緒に暮らしましょう」
「うん、パパありがとう」
亮介は嬉しくて部屋を走り回り、パパとママも笑顔で亮介と『いすお』を見て
いました。
亮介の部屋の窓から見える外はすっかり暗くなっていました。
ママは、カーテンを閉めながら亮介に言いました。
「さぁ、今夜は新しいお友達の歓迎パーティにしましょうか」
「本当?やったね!『いすお』!」
「ありがとう、ありがとう」
『いすお』は嬉しさで声が詰まってしまい誰にも聞こえませんでした。
「さぁリビングに行こう!」
亮介が、『いすお』をリビングに連れて行こう持ち上げると『いすお』がいた
床の上は『いすお』の涙で濡れていました。
おわり
いすおさん ジャッキーとしお @Jackey
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