1話おまけ


おまけ①



マルカの隣の部屋、地下1階の角の部屋を与えられたレイはせっせと部屋の掃除をしていた。掃除と言っても、もともと何かを持っていたわけでもなく、また部屋自体も埃がたまっていたりしていたわけでは無いので、掃除は部屋の中にあった備品等を倉庫に移し、貰った布団を敷くだけで終わった。

レイは片付けの終わった部屋の中を見渡した。初めての自分の部屋はこじんまりとしていたが、落ち着いた雰囲気でなんだかずっと前からここに住んでいたかのように感じた。

「レイ今良い?」

ユウカがレイの部屋の扉を3回ノックした。

「どうぞ」

レイは扉を開け、客人を部屋に招いた。ユウカとマルカが入ってくる。

「どうしました?」

「いやーちょっと質問があるんスよ。あとこれお菓子っス」

マルカがレイにお菓子の袋を手渡す。パッケージにはコーンスーパーと書いてある。どうやらポップコーンのようだ。

「それで質問は何ですか」

「そうそれが本題っスよ。えーとレイさん自分らのところに迷いなく走ってきたじゃ無いっスか、それって何でなんスか?」

「当然私の包容力を一瞬で見抜いたからよね?」

「ねぇもんを見抜けるわけねーだろ」

カレンが話を聞きつけて部屋に入ってきた。

「なによアンタ私の包容力が分からないの!」

「さぁな、少なくとも私に分かんねぇな」

「ケッ!」

カレンがへそを曲げてそっぽを向いた。

「アタシも気になってよ、何でレイがこんな見るからに馬鹿なやつに助けを求めたのか」

「それは......」

「たんまっス!」

マルカがレイの話を遮る。

「なんだよマルカ良いところに」

「せっかくなので、自分らで当てませんか?どうしてレイさんがユウカさんを選んだか?」

マルガが人差し指を上げながら提案した。

「いいぜ。面白そうじゃねぇか」

「そんなの言うまでもなく私の優しさにきづいたからでしょ」

ユウカが胸を張って言う。

「それはねーな」

「無いっスね」

「ちょっと!マルカ、アンタ裏切ったわね!」

ユウカが手をブンブン振って怒る。

「カレンさんはなんでだと思いますか?」

「ああ。そりゃこいつが馬鹿そうだから簡単に丸め込めると思ったんじゃね」

「アンタねぇ......」

ユウカの怒りは頂点ギリギリまで来ている。あと一言で噴火しそうだ。

「で、マルカはなんでだと思うんだ?」

マルカが待ってましたと言わんばかりに目を光らせる。

「簡単なことですよ。服が似てるから仲間だと思ったんですよ」

「あーなるほどな」

カレンは納得した。しかし、それでユウカの怒りは臨界点を超え爆発した。

「マルカ!あんた昼間メイド服とこれは違って言ったでしょ!何度言ったらわかるのよ。

フェチズムの欠片も感じられないわ!だいたいこの二つは、由来が全然違うのよ!それをアンタ似てるだのなんの」

ユウカは早口で語り出した。

しかし、レイはマルカの方を指差しいつも通りの無機質な声で言った。

「正解」

マルカが渾身のしたり顔をユウカの方に向けた。

こういう物は、意外ときている本人は気にしないものなのかもしれない。



おまけ② 1話終了直後



「苦っ!何でこのコーヒーこんな苦いんだよ!」

カレンがレイの淹れたコーヒーを口に入れた瞬間噴き出した。

「そう?私のは普通だけど」

セナが手に持ったコーヒーカップを再び口につけた。

「アンタの味覚がお子ちゃまなだけなんじゃ無いの?」

ユウカが自分のカップに砂糖を大量に入れながらカレンを皮肉る。

「そうか、アタシのだけ変な細工がされてんじゃねぇのか?」

カレンはレイあの方を見た。レイは顔をそらした。

「おい、今なんで顔そらした」

カレンがレイ詰めよる。レイの目が泳ぐ。

よくできているとカレンは感心したが、今はそんなことを言っている時では無い。

「あっ!もしかしてアタシがいきなり切りかかったこと根に持ってんのか」

レイの体がピクリと揺れた、図星のようだ。アンドロイドのくせに分かりやすい反応である。

「なにカレンそんなことしたの?」

セナが隣に立ったマルカにこっそり聞く。

「そうなんスよ。カレンさんいきなり切りかかって来て......」

マルカもセナに耳打ちする。瀬長カレンの方をじっと見る。

「いやぁよ。マルカ達がアンドロイドに襲われてると勘違いしてよ」

「アンタ私達のこと最初から気づいてなかったじゃない」

ユウカが厳しい指摘をする。

「いつも攻撃するときはちゃんと確認しろって言ってるわよね」

セナがカレンに顔話や近づける。

「カレンさんを責めるのはやめて下さい」

レイが2人の間に割り込んできた。

「レイ、許していいの?カレンは貴方のことを斬ろうとしたのよ」

セナが問いかける。

「そうよレイ!怒っちゃっていいのよ!」

「オメーは黙ってろユウカ!」

「カレンさんは私に奇襲を仕掛けた。私もカレンさんにコーヒーで奇襲を仕掛けた。だからおあいこです」

レイが優しい口調で言った。


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ガールズインユニバース たるばれるーが @Talga

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