青紫
杉三の家。
食事をしている杉三と蘭。
インターフォンがなる。
杉三「どうぞ、空いてますよ。」
蘭「誰だろうね。」
返答はない。かわりにもう一度インターフォンがなる。
蘭「だから、空いてますよ。」
杉三「あ、わかった!」
といって、玄関に移動した。
蘭「なんだ、何をわかったの?」
杉三は答えない。
蘭「ちょっと杉ちゃん!」
杉三、玄関のドアを開ける。と、二人の女性がたっている。髪型や雰囲気がにているため、明らかに親子とわかる。
杉三「どうしたんですか?」
母親「突然お邪魔してすみませんでした。あの、お宅は着物をよく着ているみたいだから、これを差し上げます。」
杉三「いらないよ、女物もらってもしかたない。」
母親「でも、着物だから男も女も同じでしょ。」
杉三「まあ、仕立て直しはできる。」
母親「それなら、どうぞ、もらってください。使ってくれる人の所にいってくれるのなら、着物もそれが喜ぶでしょう。」
杉三「そうなんだけどね、男が紅絹のついたきものを着用するのは、どう見てもおかしいですからね。」
母親「じゃあ、リメイクの材料にしてください。うちでは、使うこともありませんので。」
杉三「でも、娘さんの顔を見ると嫌そうな気がする。」
母親「加絵が着たって仕方ないでしょ。」
杉三「ちょっと待って、どう言うこと?」
母親「この子、失声症なんです。学校にはいけてますが、一つの甘えしかありませんから。」
杉三「それは関係ないとおもいます。」
母親「でも、親に嘘をついていながら学校にもいってるんだから、異常はないですよ。症状はそれだけなんだから、病んでいるわけではないのだし。」
杉三「そういうわけにはいかないと思うよ。」
母親「いえ、いいんです!そうしなきゃだめです。とにかくもらってください!」
母親は、杉三の腕に無理矢理包みを押し付けて、娘の手をひっぱりかえってしまった。
杉三「一体なんだ?」
蘭「何か事情があるのかなあ。」
杉三「男である僕らが持っていても仕方ないよ。」
そこへまたインターフォンがなる。
声「おーい、杉ちゃん。」
杉三「カールおじさんだ。」
と、また玄関にいってドアを開ける。
杉三「どうしたの?」
カール「いや、いま若い親子がこっちへこなかったかな?着物の包みを持って。」
杉三「カールおじさんのお客さん?」
蘭も、玄関に移動してくる。
蘭「カールさん、どういうことなんですか?」
カール「ああ、実はですね、失声症の女の子が着物を買いに来てね。身ぶりと筆談で、お母さんの誕生日に着物をあげたいというのさ。なんでも、紫の色無地がほしいそうなんだが、うちにある在庫は青紫しかない。彼女はそれでもいいと言うので、じゃあと思い、売ってあげたんだけど。」
杉三「彼女は喜んでいた?」
カール「もちろんさ。おお張り切りでかっていったからな。お金もしっかり一万円払ってくれた。しかし、買っていったあと、お母さんがすごい剣幕でやってきて、返品したいというんだよ。うちは、返品は受け付けないと言ったんだけど、それなら誰かにあげるからって。」
蘭「それで、僕らの所にきたわけか。」
杉三「うーん、どうも冷たいな。だってお母さんの誕生日にあげたいのは、純粋な気持ちだと思うけど。それを何で拒否したんだろう。」
蘭「僕たちは、彼女に返してやりたいですね。」
杉三「彼女の名前や住所をしらない?呉服屋であれば、顧客名簿を作るだろ?」
カール「いや、リサイクルだから、つくらないんだよ。」
杉三「えー、なんで。」
蘭「杉ちゃんは読めないじゃないか。」
杉三「そうだけど、聞いておきたいの。」
蘭「それじゃあ、名前も住所もつかめないよな。」
杉三「がっかり。じゃあ、着物は、母ちゃんに着てもらうか。」
カール「そうしてくれ。もう一度引き取ることもできないし、店として、客の調査もできないからねえ。」
杉三「わかったよ。」
カール「たのむな。」
製鉄所。
水穂「気にすることはないですよ。お母様は本気で出ていけと言う訳じゃないですから。だれだって、自分の子を殺そうなんて心理はわいてくるはずはないですからね。」
懍「どうですかね、水穂さん。最近は平気で殺してしまう事件も相次いでいますからね。」
水穂「そうですね。介護殺人という言葉もあれば、その逆もありますね。」
なおも、しくしく泣いている少女。
水穂「泣かないで、説明ができればいいんですけどね。」
懍「いや、説明をするのは、もっとあとでしょう。」
水穂「まずは、彼女を慰めてやることからかな。じゃあ、お部屋にいきましょうか。」
少女はだまってしまう。
水穂「何か言いたいことがあれば、いって構いませんよ。僕らはそのためにいるんですからね。」
懍が、紙と鉛筆を持たせてやる。
少女は何か書きはじめる。
懍「なになに、ああ、お母さんに捨てられてしまったのでしょうか、あのね、お母様はすこしばかり、疲れていらっしゃるだけですから、気にしなくていいですよ。疲れがとれたら、迎えに来ますよ。あなたも、ここでしばらく休むといい。」
水穂「しかし、それまで仲がよかった母子が、たった一度の喧嘩でここまでなるでしょうか。」
懍「それが現在の母子というもんじゃないですか。」
水穂「なるほど。」
懍「我々先進国だけですよ、こんな問題は。」
水穂「とりあえず休もうか。」
と、椅子からたちあがる。少女も泣きながらかれについていく。
廊下を歩く二人。
水穂「木本加絵さんね。いま13さいか。ここへ来る年にしてはかなりわかいな。まだ、中学生かな。」
加絵は紙に書く。
水穂「学校にいけないの?」
加絵は頷く。
水穂「いじめにもあったの?」
加絵は、また紙に書く。
水穂「お母さんだけが唯一の味方だった。それだけが頼りだった、か。それなら、そんな風に悲しくなってもしかたないよね。」
さらに、かきつづける加絵。
水穂「でも、中学校に入ってから、急に試験のコトとか、内申点のことで怒鳴るようになったんです。だから、私はもう味方がいない。じゃあ、僕が味方になってあげるよ。」
加絵は、確認するように水穂をみる。
水穂「いいよ。なんでも相談しな。」
加絵がやっと泣き止み、笑顔になる。
水穂は、彼女を居室となる山の間へつれていき、
水穂「ここを好きにつかってくれ。」
加絵は、しっかりと頷く。
水穂は南京錠をあけて、部屋のドアを開けてやり、加絵は、へやの中にはいる。
水穂「これが鍵ね。」
と、彼女に鍵を渡し、応接室に戻っていく。
それを観察している寮生たち。
寮生A「やれやれ、また、大変なのが来たな。」
寮生B「俺たち、まだ軽いほうだったんだなあ。」
寮生A「しかも13歳でここへ来るとはな。史上最年少じゃないの?」
寮生B「まだ、元服も済んでいない年だぜ。」
寮生A「かわいそうになあ。結構可愛いのに。それで親に捨てられて、しかも失声症とは。」
村下「こら!早く製鉄の仕事に戻れ!でないと、燃料が切れるぞ!」
寮生二人「は、はい、わかりました。すぐ行きます!」
数日後。杉三の家。雨が降っている。杉三と蘭、美千恵が夕食を食べていると、インターフォンが鳴る。
美千恵「はいはい、あいてますよ。」
杉三「どうぞ入って。」
声「そうさせてもらいます。」
と、ガチャンとドアが開いて、入ってきたのは懍と水穂。
美千恵「あら、どうしたんですか。青柳教授。今お茶だしますから。」
懍「結構です。」
蘭「どうしたんですか?そんなに落ち込んで。」
水穂「それにしても、だんだん日本の若者の元服式は遅くなっているようだ。」
蘭「どういうことだ?」
水穂「いや、木本加絵だよ。まるで幼児とほぼ変わらないんだ。それだけ傷ついているのだろうと思うが、それにしても十三歳になって、まだ母親を寂しがるとは。もしこれが、トーロン族であったら、もうとっくに結婚している年だ。」
杉三「何、木本加絵だって?もしかしたら、カールおじさんのところに来たあの女の子か!」
水穂「杉ちゃんあったことあるの?」
杉三「あるよ。うちへ着物を売りつけてきたんだよ。お母様と一緒にね。お母様のプレゼントに着物を買ったらしいのだが、お母様が拒絶したことで大げんかになったらしいんだ。それで、僕らのところに、着物を売りつけてきた。」
水穂「なるほど。教授、やっと謎が解けましたね。彼女が一日中泣きはらして、作業どころかご飯さえも拒絶している理由ですよ。」
杉三「何?ご飯も食べないの?」
懍「そうなんですよ。こちらに来てから、水だけしかのんでいないのです。」
蘭「ハンガーストライキですかね。失声症の次は、、、。」
水穂「きっと自殺をするつもりなんじゃないかな。」
杉三「じゃあ、誰か、好きな人ができればいいんだ!」
蘭「杉ちゃん、それはまだ危険すぎる。彼女はまだ13歳だし。」
杉三「でも、それしか方法はないんじゃないか?それに僕が行っている好きな人とは、恋愛とは限らないからな。」
蘭「じゃあ、何なんだよ。」
杉三「恋愛ではなく、尊敬の意味で。とにかく、彼女を救うには外の世界ってこんなにすごい人がいるのだってことを示してやるしかないと思うよ。それしかないと思う。」
蘭「じゃあどうしたらいいんだ。」
杉三「誰かが、彼女の好きな人になってやらなきゃだめだ。」
懍「杉三さんのいう通りかもしれません。それしか、方法はないかもしれませんね。」
蘭「まあ、解決には長い長い時間がかかりそうだ。彼女が元服をするには、まだまだかかるよ。」
数日後。
懍「そこまで重症ですと預かれませんね。」
と、天井を見つめている少年をじっと見る。
水穂「無動無言症というやつですか。それなら、精神科を紹介してあげましょうか?」
懍「そうですね。その方がいいでしょう。」
母親「どうかおねがいします。三日だけでいいですから、私を自由にしてください。」
懍「何か訳があるんですか?彼を、どうしてもここにいれなきゃならない理由がです。」
母親「ええ、私の母が、階段で転び、圧迫骨折をしましたので、その介護に専念したいんですよ。」
水穂「だったら、精神科のほうがよいのでは?」
母親「そこへいくより、こちらにいるといったほうが、まだ、世間体がとれます。」
水穂「どちらも同じですよ。」
母親「本当に、こういう事業をされている方はえこひいきをしていますね!誰でも引き受けるとはいっておきながら、こうなると、みんな私が悪いといって、誰も助けてくださらないんですか!もう結構です!」
と、立ち上がりなきながら、製鉄所を出ていってしまう。
少年を残して。
水穂「困ったな、、、。僕は背負って歩けませんよ。」
懍「仕方ない。寮生に手伝わせましょう。」
水穂「車椅子、手配しましょうか?」
懍「そうですね。」
水穂は、スマートフォンで電話をしはじめるが、少年はそれでも、天井を見つめているのだった。
食堂。夕食を食べている寮生たち。
水穂「はい、口をあけて。」
まるで赤ん坊にするように、水穂は少年の世話をし始めた。
調理係「水穂さん大丈夫なんですか?」
水穂「他に誰がやるんです?皆さんそれぞれのことがあるし。」
調理係「あんまり無理はしないでくださいね。」
水穂「わかっております。」
あらためて、ご飯を箸でつかむ。 そのようすを、木本加絵がじっとみている。
水穂「どうかした?」
あわてて、なんでもないと首をふる加絵。
ご飯を口にいれる水穂。
調理係「水穂さん、彼、なんてなまえ?」
水穂「増田蒼、と、きいています。」
調理係「へえ、変わった名前。」
ふたたびご飯を口に運ぶ水穂。
調理係「蒼ちゃん、あんまり水穂さんに苦労をかけないようにしてあげてね。」
蒼は、だまったまま、天井をみつめる。
やがて、ご飯を運んでも食べなくなったので、
水穂「彼を萩の間までつれていって。たまの散歩いってくる。」
と、はしを盆の上におき、食器を給餌係にわたして、部屋をでていく。
加絵は、これをみて、散歩なら私がいくといいたかったが、どうしても声がでない。焦って金魚見たいに口をぱくぱくさせた。
調理係「加絵ちゃん、焦らなくていいのよ。いまできることをすれば。じゃあ、蒼ちゃん、お部屋まで運んであげようか。」
と、彼の口許をふきんでふき、車椅子を押して、萩の間までつれていく。加絵もそのあとについていく。
調理係「蒼ちゃん、よこになる?」
蒼は、静かに頷く。
調理係「じゃあ、加絵ちゃん、彼の下半身支えてあげて。」
加絵は、静かに彼の足首を持ち上げ、膝にてをかける。
調理係は肩にてをかける。
調理係「よいしょ。」
二人、蒼を布団の上にねかせてやる。
調理係「じゃあ、また明日ね。」
加絵「、、、。」
二人、萩の間を出る。
数分後、水穂がたまの散歩から戻ってくる。
調理係「あ、水穂さん、彼を移動させて措いたわよ。」
水穂「ありがとうございます。」
その顔は、ひどく疲れた顔だった。
翌日。
ふたたび、朝食を蒼に食べさせてやっている水穂を、加絵は、不安そうにみつめている。一生懸命何か言おうとしているが、どうしてもできない。
蒼は、食事だけでなく排泄もままならない。もよおしたらスマートフォンをダイヤルするように、と懍が取り決めをしたため、水穂はスマートフォンがなったら、尿器を持っていそいで萩の間にいったが、間に合うことはまれだった。懍は、他人に手間をかけていると、いち早く気がつかせるためといったが、その効果はなかった。
その日。
かみより白い顔で水穂は書類を書いていたところ、スマートフォンがなったため、水穂は急いで蒼の部屋にいった。
水穂「どう、でそう?」
布団をめくるとすでに漏らしてしまっていた。
水穂は何も文句はいわず、汚れたシーツをはぎとり、洗濯室に持っていって、洗濯母ちゃんのように、洗濯をはじめた。
と、ドアがあいた。
振り向くと加絵だった。加絵は、紙を水穂にわたした。
水穂「何か手伝うこと?じゃあ、蒼さんの掛け布団のカバーをとってきて。」
加絵は、笑顔で頷き、蒼の部屋に向かった。
と、そのときだった。後ろから激しい咳の音。振り向くと、水穂がしゃがみこみ、咳をしているのだ。口に当てたては、真っ赤に染まって、その赤い血はみるみるうちに床を汚した。一瞬、パニックになった加絵だったが、急いで食堂に飛び込んだ。丁度、調理係が、料理をしているところだった。
加絵は、全身の力を振り絞って言った。
加絵「お、ば、さ、ん、み、ず、ほ、」
調理係も、なにがあったか、すぐわかったらしい。すぐ血相を変えて、
調理係「どこにいるの?」
加絵「せ、ん、た、く、し、つ!」
調理係「わかった!」
と、食堂を飛び出していった。
洗濯室はすぐわかった。咳の音がはっきりと聞こえていたからだ。
調理係「水穂さん大丈夫?」
急いで水穂を背負い、かれの居室へ連れていった。まず、布団に寝かせてあげて、机の中から鎮血の薬を取り出し、枕元にあった水で飲ませてやった。すると、三十分ほどで、静かになった。
水穂「ごめんなさい、迷惑かけてしまいましたね。」
調理係「いいのよ。そんなことより、無理はだめよ。」
水穂「ごめんなさい。」
調理係「彼女の声聞こえた?」
水穂「誰の?」
調理係「加絵ちゃんのよ。」
水穂「しゃべってくれましたか。」
調理係「そうよ。かわいい声だったわよ。ほら、水穂さんに聞かせてあげなさいよ。」
加絵「ご、め、ん、な、さ、い。」
水穂「ごめんなさいじゃないよ。おめでとう。よかったね。」
加絵は、なきながら赤面した。
翌日。製鉄所の玄関。
蘭「おい、水穂、見舞いに来たぞ。大丈夫なのか?」
調理係が、加絵の背を押した。
調理係「頑張って!」
加絵「はい。」
と、玄関へ向かっていき、ドアを開ける。
杉三「加絵さん、こんにちは。水穂さんは?」
加絵「(一息吸い込んで)こちらです。」
杉三「しゃべれるようになったの?」
懍「ええ、今は無動無言症の少年の世話をしています。まあ、上がってください。」
蘭「お邪魔します。」
杉三「お邪魔します。」
と、応接室に入る。
蘭「水穂は?」
懍「居室で寝てますよ。」
蘭「入ってもいいですか?」
懍「かまいません。」
というより早く、杉三は、水穂の部屋に入っていた。
杉三「水穂さん大丈夫?」
水穂「(布団から起き上がって)大丈夫だよ。」
杉三「よかった。そんなことより、加絵さんはしゃべれるようになったのか。」
水穂「まあ、まだ流ちょうでないけどな。」
蘭「そうか。やっぱり、若い人は成長が速いな。」
杉三「加絵さん。」
加絵「はい。」
杉三「もういえるね。」
加絵「何をですか?」
杉三「君がお母さんともめてしまった原因さ。」
加絵「ええ、、、まあ、、、。」
杉三「話してみてよ。」
加絵「え、ええ。私は、母が、大学を、卒業、すると、聞いて、母に、お祝いの、品を、差し出したかったのです。」
蘭「大学?社会人学生みたいなもんか。」
加絵「ええ。母は、大学に、ずっと行きたいと、言っていたから。」
蘭「つまり?」
加絵「母は、私と同じ。大学へ、行く前に、いじめにあって、大学にいけなくて、大人になってから、大学へ行った。」
水穂「何らかの事情で、現役で大学へ行けなくて、今になって大学へ行ったわけですか。」
加絵「そう。でも、母は、あんまり、うれしくなかったみたいで。あの時、青紫の、着物を、あげたのに。」
蘭「青紫?」
加絵「そう。大学の、卒業式では、着物着るでしょ。だから。」
水穂「ああ、そういえばそうですね。大学生は。でもなんでそれでお母様に怒られたのでしょうか。」
杉三「きっと、その時は恥ずかしかったんじゃない?なかなか、お母様くらい年で大学にいくなんて人、なかなかいないし、葛藤もあったんじゃないかなと思うよ。でも、今は、きっと、反省してくれていると思うよ。」
水穂「そのうち、大学も大人になってから、年を取ってから行く人が増えてくるんじゃないですかね。現にそういうのを専門にしている大学もありますよ。」
加絵「しきたりに習って、なにも柄のない着物をあげたかった。」
水穂「色無地の事ですか。確かに礼装として使えますが、大体の人は、振袖を着るものです。」
蘭「まあ、それに青紫と言ったら、確かに侮辱されたと勘違いされる可能性もあるよね。きっと、お母さんとすれ違ってしまったんだ。それで、失声症になったわけね。でも、今は違うよね?」
加絵「ええ。でも、また戻って行ったら、またこういうこともあるかもしれない。すぐ戻ってしまうのではないかと。」
懍「ご自身との勝負ですね。」
加絵「はい。そうなって、しまうと、思います。」
杉三「いや。そうなってしまうんじゃなくて、お母さんを敵に回してはいけない。そうじゃなくて、すれ違ったところを修復しなきゃ。」
加絵は少し考えて、
加絵「はい、、、。」
と、緊張していった。
杉と蘭のシリーズその参 増田朋美 @masubuchi4996
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます