“思い出を上書きする”という表現が素敵です。新しい思い出がたくさんあれば、それまでの思い出の意味も、自分の中で変わっていくかもしれませんね。
真夏の夜の物語。日がおちてもかわらない絡みつくような暑さにまじって、花火の音がきこえたような気がします。丹野くんの用意周到さと一途さに、やわらかな笑みがもれました。菜々実さんがこの日みつけた気持ちを、大切にそだてていけるとよいですね。
お盆休みの初日、二年ぶりに再会した男女が居酒屋で語らうお話です。語らいによって次第に明かされていく、二人それぞれの過去や想い。真夏の蒸した空気と居酒屋の喧騒は、それらを優しく、大らかに包み込んでいます。どことなくお祭りのような浮足立った雰囲気や、ビールが喉を気持ちよく滑っていく描写も、涼感を誘います。真夏の夜に、お勧めしたい一作です。