キーワードは「親しみやすさ」

 作品を公開している以上、誰でも好意的なレビューは欲しいもの。

 にもかかわらずレビューがつかないと、やっぱりこれはつまらないんだろうか……と落ち込んでしまうと思います。

 ですが、実は読み手の側から見ると、レビューがつかない原因は作品の質が低いからではない、という場合もあるのです。


 先日、ツイッターのTLで「貴方の作品は上手いけれど、感想が書きにくい。例えば美人には男性から声をかけにくいみたいに」と言われたことがある、というツイートを見かけました。

 私自身、確かにそのように感じる作品というのがあると感じています。

 それは先のツイートで言われているように、「上手いがゆえに何か近寄りがたい」と感じる雰囲気の作品なのです。


 人間でも、立派で隙がないためになんとなく話しかけづらい、という人がいます。

 小説も同じで、格調高い立派な作品を書いているために、「自分なんかが下手なレビューを書いても全然わかってないと思われてしまうんじゃないか……」なんて思ってしまうことがあります。

 

 もちろん、これは幻想です。立派なレビューでなければ書いていけないということはありませんし、よほど失礼なことでも書かない限り、作者なら反応があれば嬉しいはずです。

 なので、良いと思ったら遠慮せずにコメントでもレビューでもどんどん書いていくと良いと思います。


 ウェブ小説と書籍のレビューで違うな、と思うのはこういうところです。

 書籍のレビューは作者に届けることを目的としていないので気軽に書けますが、ウェブ小説だとレビューが直接作者へのメッセージとなるので、作者自身がどういう人か、どれだけレビューに反応してくれるのか、といった部分もレビューの書きやすさに影響してきているように思います。


 これもまた、作品自体のクオリティとは別の部分です。

 星の数が同じなら、作品の下にレビューが並んでいる方が面白そうに見えます。

 レビューが人を呼び、人がレビューを呼ぶという好循環も生まれます。

 レビューがつかないことで、この流れに乗れないこともあるかもしれません。

 作品自体は立派なのに、これはとてももったいないことです。


 中川淳一郎さんがウェブで受けるコンテンツの特徴として「話題にしやすく、突っ込みどころがあるもの」を挙げていますが、これはウェブ小説にも共通する部分があるように思います。

 また、「身近であり、B級感があるもの」も受けると分析しています。

 あまり高級に感じられる小説は、読者からすると「自分の方を向いていない」と感じられているかもしれないのです。

 高尚な作品を書ける方はそれが持ち味なので、それを変えたほうがいいとは思えないのですが、受けるかどうかと作品の質自体は別問題、という認識自体は持っている必要があるのかもしれません。

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