hello my friend
zero
第1話 異世界の女性とsnsで友達になる
「こんにちは、初めまして。私はエリザベスと言います」
「初めまして、わたしは小林と言います」
私は最初このようなsnsには興味がなかった。だが、年齢が30代後半になってから女性と付き合うこともなくなり、ましてや結婚などをする気はもうなかった。
刺激がほしかったのかもしれない。
「おはようございます」私はいつものように会社に行ってタイムカードを押して出勤した。
私の仕事は現在、長野の工場で仕事をしていた。私はもともと大学からこの会社にいるのだが、ある時、上司との折り合いが悪くなり、出世コースから完全に外されてしまった。
そして、去年から完全に左遷コースとなる地方の工場に行くことになった。どうやら私はこの会社にいる以上、一生この工場にいないといけないらしい。
「・・・・・転職するかな」だが、この会社の福利厚生はそれなりに良かったし、私個人そこまで出世欲もなかった。だから、これはこれでよかったのかもしれない。
だが、やはり本社と違い刺激がなかった。おまけに長野と東京ではやはり遊ぶ場所も友達もいないので楽しみがなかった。
そう考えながら、私は仕事をいつものようにして、昼休みを食堂で食べていた。
「小林さん、隣いいですか?」そこに品川さんがやってきた。
品川さんは私よりも7歳年下の後輩だった。
「いいよ」
「ありがとうございます。どうですか、去年からこの工場に来ましたが、もう慣れましたか?」
「そうだね、まあ、慣れたのはいいけど、ね。やっぱりなんかね」
「やっぱり東京都比べると何もないですもんね。遊ぶところもこの付近から市内に行くには結構時間かかりますしね」
「そうだね」私は工場に左遷が決まってから3年間付き合っていた彼女と別れた。
理由は彼女自身、東京にいたかったからである。
「小林さん、もしも物足りないなら面白いものがあるんですよ」
「面白いもの」
「ソーシャルネットワークって知ってますか?」
「Facebookとかツイッターとかのこと?」
「そうです。その中でも最近面白いソーシャルネットワークがあるんですよ」
「Juriっていうアプリなんですけど、ほかのソーシャルネットワークと一味違うんですよ」
「それはまた何が?」
「ここに出てくる相手がかなりみんな個性的なんですよ。まるで違う世界の人と話しているみたいに面白い話題ばかりなんですよ」
「おまけに女性も皆さんきれいで!もしかするとそのまま恋愛に発展するかもしれなくて、私も今かなりはまっているんです」
それを話している品川さんはほんとに面白そうに話していた。
私は仕事を終えてタイムカードを押して工場をでた。今日はいつもよりも2時間ぐらい早く帰れた。私はスーパーでビールとつまみ、弁当を買ってアパートに帰った。
家についてシャワーを浴びて弁当を食べながらビールを飲んでいた。
テレビをつけたが、面白いものがなくすぐに消してしまった。
「・・・・・・・・暇だな」私は昼間に品川さんが言っていたことを思い出し、Juriというアプリをスマホでインストールしてみた。
インストールして、アプリを開くとほかのソーシャルネットワークと同じように名前と生年月日、そして顔の特徴、住んでいる場所などを記入していった。
どうやらこのsnsは日記や掲示板でお互いに友達になっていくらしい。
私はとりあえず面白そうな掲示板を探した。
「モンスターを一緒に狩ってくれる人募集中、か」私はたぶんモンハンみたいなゲームのことだと思った。モンハンなら私もしているので共通の話題になるのかもしれない。
「こんばんは」私がその掲示板に行くとその掲示板には私以外に2人いた。
「こんばんは」
「こんばんはーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。モンスター狩りに行きますか?それとも私とデートしますか?それとも明日会いますか?飯食いますか?遊びますか?金くれますか?あんたはおじさん、お兄さん、それとも子供?それともおじいさんかいな?????」
「どうかな、どちらかというと中年に近い年かな」と私はその掲示板にメッセージを打った。
「ええーーーーーーーーーーーー、じゃあ、ダメじゃんモンスターに殺されちゃうよおじさん!なんで掲示板に来たの?」
「・・・・・・おじさんはもしかしたら熟練のハンターなのかもしれない。そう私は思います、モニカ」
「ほんかなあ、確かに前の人はそれなりに年を取ってたけどそれでも20代だったよ」
私は画面に出ているエリザベスとモニカという人物二人と話しているが、どうも何か話がかみ合わない感じがした。
「お二人が倒そうとしているモンスターのレベルを教えてくれませんか。もしかしたら私のレベルでも倒せるかもしれません」
と私はモンスターのゲームを開いて画面を見た。かなり前からやりこんでいたので大体は大丈夫だと思うのだが。
「???????レベル?何言ってんの?何レベルって?エリザベス知ってる?」
「・・・・・・・知らない」
「???レベルはレベルですよ。ほら、画面に出てくるステータスのところにないですか?」
「何それ。そもそも画面って何?私たちが言っているのはモンスターを倒すことなのよ?」
「いや、だからゲームのことでしょ?」
「・・・・・・・・ゲームじゃない。現実のことよ」
そういってエリザベスは私に写真を送信してきた。そこには見たこともない世界があり、きれいな少女がモンスターと倒している写真が写っていた。
「・・・・・・・・なにこれ」
「なんのcgですかこれは?」
「え?何言ってるんですか?モンスターですよ?よくいるじゃないですか?」
「モンスターってゲームのことじゃないんですか?」
「だからさっきからゲームゲームって何?」
「・・・・・・・よくわからない」
それからも説明は一方向にで平行線だった。だが、送られていく写真や動画を見ていくうちに・・・・・・信じられないことだが、私のいる世界と彼女らのいる世界は全くの異世界みたいどうしだった。
「ほんとにいまだに信じられないよ。私たちの世界とおじさんの世界が違うなんて」
「・・・・・・・ほんと」
「ほんとだね」私は彼女らの話を聞けば聞くほど興味をひかれた。彼女らの世界は日々様々なモンスターと戦ったり、王様がいたり、戦士がいたり、狩人がいたり、昔はロールプレイングゲームみたいに勇者がいたみたいだった。
話をしていくうちにいつの間にか午前0時を回っていた。明日も仕事だったので私は今日はここまでにしてパソコンをシャットダウンした。
「品川、昨日言っていたアプリだけど自分もしてみたよ」
私は早速教えてもらった品川に昨日のことを話していた。
「え?何ですかそれ?そんな機能あのソーシャルネットワークにはないはずですよ」
品川はきょとんとした表情で私の顔を見た。
「嘘。だって昨日教えてもらったアプリをそのままインストールしたんだけど」
「ああーーーーー、小林さんそれスペル間違ってますよ!Juliにこのアプリなってますよ。自分が言っていたのはJuriですよ」
ほんとである。そして品川の言っていたアプリは完全に出会い系であった。
出会い系かよーーーーーーーー!!!!!
出会い系かよーーーーーーーー!!!!!
出会い系かよーーーーーーーー!!!!!
出会い系かよーーーーーーーー!!!!!
出会い系かよーーーーーーーー!!!!!
心の中で5回も言ってしまった。品川お前そんなんだったのかよ。見ると品川が話している友達はみんな巨乳だった。
巨乳かよーーーーー!!!!
巨乳かよーーーーー!!!!
巨乳かよーーーーー!!!!
巨乳かよーーーーー!!!!
品川この前スレンダーが好きって言ってたじゃないかよ!
「へえーーーーー、それじゃあ結局小林さンは勘違いでこのアプリを使ってるのね」
「まあ、そういうことになるのかな」その夜、私はそのことをエリザベスとモニカに言った。
「ふーーーーん、私たちの世界にもスマートフォンがあるけど、このアプリは私たちの世界ではダウンロード数トップの人気アプリだよ」
「へえーーー、そうなんだ」
「・・・・・・・・小林さんは強いの?」
「強くはないかな」
「じゃあ、モテないね。私たちの世界では強さがそのまま男性のステータスだから」
「そうなんだ」
「・・・・・・・そうです」
それから私たちはお互いの世界のことをいろいろ話した。
モニカはいつもチャットでは活発で明るい性格だった。
エリザベスのほうはどちらかというとおとなしく清楚な感じだった。
「でさー、エリザベスがさー」
「モニカしゃべりすぎ」
二人と話しているのはほんとに楽しかった。
ある日、私がいつものようにアプリを開くとそこにはモニカだけだった。
「あれ、エリザベスは?」
私がそういうと
「・・・・・・・エリザベスは死んじゃった」
エリザべスが死んだ。それはほんとにいきなりのことだった。
エリザベスはあるモンスターを倒すために何人かとパーティを組んでいった。だが、パーティは全滅した。
エリザベスはもちろん、ほかのメンバー全員がそのモンスターに殺された。
「はは、エリザベスが死んじゃった・・・・・なんで、なんでエリザベスが?この前まであんなに元気だったのに」そのアプリのチャットの画面の文字はいつものモニカではなかった。
「ああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!なんでよーーーーーーーーーーー!!!!!!」
・・・・・・・・言葉が出なかった。
私にはどうすることもできなかった。
「私にとってエリザベスが唯一の友達だったのに。私にとって唯一の味方だったのに・・・・ねえ、これから私はどうしたらいいの?」
その画面にはたくさんの悲しみであふれていた。
「・・・・・・・・僕が友達になるよ」
私はゆっくりとその言葉を書いた。
「え?」
「僕が君の友達になるよモニカ」
「おじさんが友達に?何言ってるの?おじさん?おじさん私たちといる世界が違うじゃない?」
「それでもこれからこのアプリを通して君とたくさん話して友達になるよ?それじゃあ君の悲しみは埋まらないかい?」
「埋まるわけないでしょ!所詮画面上のソーシャルネットワークよ!ゲームよゲーム!現実とゲームを一緒にしないで!」
「そうかもしれない。だけど・・・・・・何とかしたいんだよ」
私の本心だった。彼女を何とかして救いたかった。できることなら出会って彼女を勇気づけたい。エリザベスを殺したモンスターを殺したい。
だけど、私にはそちらの世界に行けないし、ましてやモンスターなんか倒せない。
だから、せめて言葉で彼女を救いたい。
私はそれからも彼女とアプリを通してたくさん話した。
時には、「死にたい」、「助けて」という時もあった。
時には話が通じないときもあった。
時にはいきなりチャットを辞めるときもあった。
だが、それでも何回も何回もアプリを通じて話していった。
そして半年が過ぎた。
「おじさん、エリザベスを殺したモンスターが昨日殺されたって」
「・・・・・そうか」
「おじさん、ほんとにありがと、少しこれで救われた」
「・・・・・そうか」
「うん、ほんとにありがとう」
「こちらこそありがとう」
「おじさん、だからひとついい?」
「何?」
「私ともう一度正式にお友達になってくれませんか?」
「・・・・・・・・喜んで」
「hello my friend」
「何それ?」
「私たちの世界で言われている親友の証の言葉」
「hello my friend」
私も言った。
「hello my fiend」
hello my friend zero @kaedezero
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