第9話 待ち望んだ審査結果

 応募はしてみたものの、小説の自動生成ソフトはゲームとは言えない。たぶん応募資格なしということで門前払いになる可能性が高いと思ってあまり期待はしていなかった。

 しかし一次審査通過の通知が届くと、次の二次審査にはついつい期待が大きくなった。エンターブレインのゲームコンテストは、もともとエンターブレイン社のツクールシリーズの拡販のための賞だ。大部分のゲームソフトはツクールシリーズで応募してくる。だがツクールシリーズで作ったソフトというのは、どうしても似たようなゲームになりがちで、個性の強いソフトは作れない。その分、オリジナルプログラムは自由にアイデアを発揮できる分オリジナリティーが高いゲームが作れる。それにゲームソフトを自作出来る人はかなり限られているので応募もツクールシリーズのゲームソフトに比べてかなり少ない。自作ソフトのほうが入賞の確率はかなり高いのは容易に推測できる。上位に入賞できなくても、入選さえすればそこそこのデビューにはなる。あれこれと考えてはきっと入選できると期待しては、またどうせ駄目に決まってると諦めることを繰り返す毎日だった。

 2次審査の結果は2001年末に通過者に通知すると要綱には書いてあった。私は年末の25日くらいから毎日不安な気持ちでいっぱいになりながら、郵便受けを確かめた。まだ受賞も決まってないのに、私はもし入選したらどうしたらいいかの予定をいろいろ思案してみた。小説自動生成ソフトの紹介の為のホームページを作った方がいいし、連絡用のメールアドレスも必要だ。

 これで準備はできたと思ったが大晦日の31日になってもなんの通知もなかった。結局年を越して正月の三が日が過ぎても通知はこなかった。私はやっぱり二次審査は通らなかったとあきらめるしかないと思った。それでもどこかであきらめきれない気持ちが残っていた。どこか他のゲームコンテストがあれば応募し直せばいいし、また作り直して別のソフトとして来年のゲームコンテストに出そうかといろいろと考えた。

 正月が過ぎたあとも、エンターブレインゲームコンテストのホームページには毎日アクセスして、二次予選について何かか発表があるのではと確かめた。ある日新しいお知らせの掲示があり二次審査が遅れてこれから二次通過者に通知をするという告知がでていた。もうとっくに終わったと思った二次審査は、まだ終わってはいなかったのだ。それを見て私の心の中には一度は捨てた希望がまた大きく膨らんできた。私は、まだあきらめなくてよかったのだと希望を持ち直した。

 次の日次の日と郵便受けを見たが通知はこなかった。しかしその次の日にエンターブレインの封筒が郵便受けに入っていた。私は、きっと二次審査の通過通知だと確信した。だが、封を開けてなかを確かめるまでは、不安な気持ちでいっぱいだった。もしかして落選の通知かもしれない喜ぶのは早すぎると思い高ぶる気持ちを落ち着かせた。

 便せんを広げてみると、やっぱり二次審査の通過通知だった。私は何度も繰り返し通知を読み直した。何度読んでも、二次審査に通過したという内容に間違いはなかった。しかし、二次を通過したというだけで、あとは最終審査が残っている。最終審査の結果は一月後の予定だった。

 二次審査を通れば最低でも入選にはなるだろうと目算した。だが実際の所は発表になってみなければ判らない。私はまた、不安な気持ちで毎日の日々をすごさなければならなくなった。

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小説自動生成ソフト制作日記 七度柚希 @yuki_nanotabi

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