目論み
「お兄ちゃんただいまー!」
帰ってきた妹がリビングに来た。僕はパソコンのチャット画面から妹に視線を移す。
「おかえり、さくら。どうだった今日は?」
「盛り上がったよー!初見さんも意外といたの!お兄ちゃんの作戦のおかげかな?」
「そうかもな。まあ、さくらたちに魅力があるからこそだよ。じゃないと気休め程度の効果しかないからね」
「そんなー、私たちまだまだだよー。でもとにかくありがとう!」
照れながら話すさくら。顔が赤くなって可愛らしい。
「ところで、彼はどうだった?」
「え!?ユ、ユウトくんのこと?ま、まあお兄ちゃんの言う通りかっこよかったかな・・。あんなとっさでも体を張ってくれる男の子、初めてだったし・・」
さくらの顔がさらに赤くなっている。まさか本当に惚れてしまったのだろうか。
「まあ、彼ならお兄ちゃんは反対しないぞ」
「お、お兄ちゃん!別にそんなんじゃ・・!」
む、逆に意識させてしまったか。まあいいだろう。今のところは、ね。
さくらが自分の部屋に帰って行ったので、僕はチャット画面に向き直る。
『そんなわけで、脇役の皆さんもぜひ俺の物語を盛り上げてくださいね』
『お?何か調子に乗り出したぞこいつ』
『お前こそ実は脇役なんじゃね』
『その台詞がまず主人公じゃねえよな。ギャグ漫画のゲスキャラならともかく』
さ、とりあえず僕も一緒に現実逃避するか。
「やあ皆。今日は本当にありがとう!おかげでライブは大成功だったらしいよ」
『アドさん!ばんちゃっす!』
ふふ。ユウトくん、君はこちら側の人間になれるかな?
蜂須賀ユウトは本当にラノベの主人公なんですか? 何かしらの大福 @tmdk1517
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