恋から始まる物語
「そんなわけで、ついに俺の人生が始まり出しました」
その日の夜、俺は今日の出来事を報告、もとい自慢した。
『それって何か始まったんですか?』
『飛んで来たサッカーボールから女の子を守った、って物語の掴みとして弱いな。魔物でも現れたならまだしも』
『ただの頭おかしいファンのイタズラなんじゃ』
いやあ、でもまさか可愛いと思ってた子がヒロインになるとはなあ。まさに運命だなあ。
『あれボールが飛んで来てたんだねー。あたし遠目で見てたけど気づかなかったー。しかもあの男の子がユウくんだったなんて』
『俺一曲目終わって帰ってたわ。意外と人いたから』
『俺も用事あって途中で抜けた。いやーその場面見たかったわー』
『なんかガキが一人で騒いでるなと思ってたらそういうことだったとは』
握手会も出ればよかったかなー。気恥ずかしくて行けなかったんだよなー。
『でもその子がユウトさんの名前を知ってたっていうのは、確かに何かありそうですね』
『実はクラスメイトとかなんじゃないか?』
『まさかの本当に忘れていた幼馴染説あるでこれ』
『預言者ユウト・・』
『すげえな妄想を現実にするとは』
『で、実際どうなんだユウト?知らないのかその・・なんだっけ名前?』
『三原さくら。芸名かどうかは知らん』
あ、気づいたら話進んでた。
「すみません今日のこと思い返してて見てませんでした」
『おい』
「少なくとも名前には見覚えないですね。顔もずっと考えてるんですけど記憶にないです」
『部活とかで何かの大会出てて、お前の顔割れてたりしないのか?』
「それもないです」
『不思議だねー』
『じゃあもうわかんねえな』
『ユウトさんの進展報告待ちですね』
『進めばいいけどな』
「進みますよ!これから様々な偶然が巻き起こって話が進んでいくんです!」
『見習いたいくらいのポジティブさだなほんと』
いやあ、楽しみだなー。次のイベントはいつ起こるかなー。
俺にはもう、何かが始まる予感しかしていなかった。
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