第36話 買物 芽画音
麗ちゃん、鋭すぎだよ……。まさか、わたしたちが付き合ってること、最初から気付いてたなんて……。
麗ちゃん、色々聞いてくるからつい、答えちゃって全部話しちゃったけれど、やっぱり、恥ずかしいな。でも、本当に大事な、大切な想い出はわたしと拓斗くんだけの秘密。それが麗ちゃんでも絶対に話さないから。
「あ、そうだ。芽音っちも水着買おうよ!それで、紺野を誘惑して、それから、大人の階段を上っちゃおうよ!」
「えぇと、それは、その、まだ早いよ……。それに、その、恥ずかしいし……」
「大丈夫だって!芽音っち、スタイルいいんだから!」
そんな感じで無理矢理わたしも水着を買うことになってしまった。別にいらないんだけどな。去年までのもあるし、それに、拓斗くんと海とか……楽しそうだけど、でも、何か緊張しちゃう。
あ、でも、可愛い水着とか着て、拓斗くんに「可愛いよ」だなんて言われたら……。
「芽音っち、何考えてるの?すっごいニヤニヤしてるよ?」
「え?あ、あの、その……」
「紺野に『可愛いよ』だなんて言われてるとこ?」
「う、うん……」
「本当に!?だったら、そう言ってもらえるようなの、買わないとね?」
「じゃ、じゃぁ、こんなのとか、どうかな?」
「ダメ!そんなお子様なのじゃなくて、もっと大人の色気あるやつにしなきゃ!」
麗ちゃんは他の水着を探しに行っちゃったけれど、これ、可愛いと思うんだけどなぁ……。拓斗くん、どんなのが好きなんだろう……?
「芽音っちー、いいの見つけたよー!」
そう言って麗ちゃんが持ってきたのは、際どい感じで、その……
「ほら、試着、試着!」
「え?ちょっと待って、わたし、これは無理だよぉ」
「そっかなぁ?芽音っちだったらこれで世の男どもを悩殺確定だと思ったんだけどなぁ……」
「じゃ、じゃぁ、麗ちゃんが着てよ!わたしには拓斗くんがいるから、他の人は……」
「はいはい、惚気ごちそうさまです。でも、あたしにはこれは無理!だって、芽音っちみたいに胸ないから!」
うぅ……わたしだって、好きで胸、大きくなった訳じゃないのに……。麗ちゃんみたいにスレンダーだったらなぁ……。
「あたしはまた別なの探してくるから、芽音っちももっと大人な感じの水着を探すこと!そして、紺野を惚れ直させること!いい?」
「う、うん」
惚れ直させる、って別に喧嘩とかしてるとかじゃないのにな。それに、拓斗くん、わたしのこと、好きだって言ってくれるし。
麗ちゃんの方を見ると、ちょうどいいのを見つけたのか、こっちに歩いてきた。
「これ!これなら芽音っちでも着れるでしょ?」
「うん。でも、その、もっと可愛い感じの方がわたしは好きなんだけど……」
「そんなんじゃダメ!いつまでも可愛い路線だといつか紺野に飽きられるよ?いいの?」
え?拓斗くんに飽きられるって、それって、つまりは振られるってこと?そんなの……。
「嫌!絶対に嫌!だって、やっと、拓斗くんと……」
「だ、大丈夫だから。もう、そんな泣きそうにならないでよ。紺野もそんなすぐには芽音っちから離れないから。でも、さ、こうやってギャップを狙うのも長続きさせるコツだとあたし的には思うな」
「……うん、分かった。それ、試着してみるね」
そして、何故か、その場の雰囲気で買ってしまったその水着。初めてのビキニで、可愛い、というよりはもっと大人の人が似合うようなので……。それに、やっぱり、露出、多くない?胸とか半分くらい見えてるし、下も紐で縛るから、ほどけちゃったら、って心配だし……。
でも、せっかく買ったんだから、拓斗くんと海とか行きたいなぁ……。
眼鏡っ娘の彼女が可愛すぎる! 星成和貴 @Hoshinari
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