麗と芽画音

第35話 買物 麗

 ん~、芽音っち、紺野とよく一緒に帰ってるけど、どうなんだろう?もう付き合ってる?だったら嬉しいんだけどなぁ……。でも、そうなら、言ってくれるよね?そうだよね?あ、でも、芽音っちのことだから、恥ずかしいって感じで隠してるかも!だったら……




「やっほー、芽音っち」


「あ、麗ちゃん、おはよう」


 うん、相変わらず可愛いな。さて、上手く買い物に誘えたはいいけど、どうやって聞き出すか。


「ところで、買いたいものって何?」


「え?あぁ……その……」


 ヤバ。誘うので一杯でそのこと考えてなかった。どうしよう!?


「麗ちゃん?」


「え?その……そうそう、せっかくの夏休みだし、ほら、えぇと、そう、水着!水着買いたいな、って。それで海の男を悩殺して今年こそは彼氏を作る!」


「あ、そうなんだ……」


 うん、我ながらなかなかそれらしい物を言えたじゃないか。流石はあたし!と言うより、あたしも彼氏欲しいんだよ!

 ん?でも、芽音っちの反応、ちょっとおかしくない?何か、視線そらして……あ!やっぱり、紺野と何かあったんだ!


「あの、麗ちゃん?何か、怖いよ……?」


「何でもない!とりあえず、さ、買物の前にゆっくりと話でもしない?ほらほら、芽音っちもあたしに言わなきゃいけないこととかあるんじゃないの?」


 あたしとしたことがつい、考えが顔に出ていたようだ。うん、でも、今からは芽音っちの事情じょう取?あれ?何か違うか?とにかく、話を聞き出さないと!




 ………………

 あれ?おかしいな。芽音っち、何も話してこない。てか、さっきから話してるのあたしばっかじゃん!いつもはそれでといいけど、でも、今日だけは絶対に聞き出すって決めたんだからダメじゃん!


「ねぇ、麗ちゃんは彼氏欲しいって言うけど、その、好きな人、とかはいないの?」


 って、突然何?え?これって、聞き出すチャンスなんじゃないの!?


「あたしはいないよ。でもさ、ほら、せっかくのJK、なんだし、彼氏いないのってもったいなくない?あぁ、どこかに超絶イケメンで、優しくて、お金持ちで、あたしのことだけを見てくれる、そんな人いないかなぁ」


「ふふっ、麗ちゃん、高望みしすぎ」


「別にいいじゃん、夢くらい見たって。それより、芽音っちはどうなのさ。紺野とは」


「え?あの、その……」


 あ、この反応、絶対に何かある!あたしの女の勘がそう言ってる!

 だって、顔を赤くして、照れてるんだから!

 って、これ、女の勘じゃなくて誰でも分からない!?


「って、芽音っち、分かりやすすぎ!それで、何があったの?ほらほら、話して楽になっちゃいなよ」


「う、うん……。えぇと、どこから話したらいい?」


「最初から、にすると長いか。小学校の頃からだもんね。えぇと……」


 思い出せ、あたし。いつからこの二人が接近した?去年は確か、普通だった。じゃぁ、今年のいつ?え?待って。四月からはもう……


「四月、違うかな、えぇと、春休みから!これでどうだ!」


「え、えぇぇ!?もしかして、気付いてたの?」


 この反応はビンゴ!さて、詳しく聞かせてもらいますか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る