第1話 出会い

目の前では屈強な男達が剣を振るい血飛沫が飛び散る。

弓兵達の的確な放った矢が兵士の頭を貫いてゆく。

実際自分の目の前で起きてきることに頭がついて行かず身動きがとれない。

その時、背後から兵士が迫って来た。

「貴様!敵兵か!?」

「えっ、ちが...」

その瞬間、兵士が剣を抜き斬りかかってきた。

「問答無用!」

振りかざされた剣が自分目掛けて振り降ろされる。

殺される!とそう悟った時に彼女は現れた。

目にも止まらぬ速さで抜刀し、兵士の剣を弾き飛ばすやいなや、兵士の空いた腹を一直線に斬り裂いた。

兵士が崩れ落ちる。

「逃げ遅れた村人か?早くこの場から去れ」

「あ、あの私...」

しかし、彼女は既に私の方を見てはいなかった。

彼女の視線は空に向いていた。

私も続いて空も見上げるとそこには、火を吐き兵士を焼き殺すドラゴンがいた。

「あ、あれは、何ですか?」

「ちっ、一匹仕留め損なったか」

そう言うと、彼女は手を天にかざし、何やらブツブツと唱え始めた。

そして、手をドラゴンの方に手を翳すと、ドラゴンの上に雲が急激に出来て雷を落としたのだ。

そこでわぁっと歓声が湧き上がる。

「我が大国の勝利だ!」

「隊長に続けぇー!」

と兵士達が鼓舞している。

「敵勢力もあと少しだ!押し切れ!」

と彼女の一言で味方の兵士が敵陣へ流れ込んで行く。

安堵したのか、彼女は甲冑を取る。

そこに居たのは、声に見合わない外見で、私と歳もあまり違わない美少女だった。

そして、彼女はこちらを向き、咳をコホンといれてから、

「名乗っていなかったな、私はエルザだ!」

これが、私とエルザの初めての出会いである。



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