第8話 おまけ

「悠さんは夏休みのご予定はどうなっていますか?」


俺の家に急に来たかと思ったら、こんなことを言いだす。

少しぐらい脈絡があってもいいんじゃないか。


「家でだらだらするとかレポートで埋まってるな。比率にして9:1ぐらいだろうな」


「それは世間一般的には暇といいませんか!?」


「俺の中では忙しいんだよ。だらだらするのも必要不可欠だ」


「もしよかったら、私とどこか出掛けませんか?」


「・・・・・なんで?」


「・・・・・こういう事に動揺はしないんですね」


本当は懸命に心臓の鼓動を押さえていた。




「私からのデートのお誘いです」


可愛い女の子の精一杯の頑張りなのだろう。

少し肩が震えていた。

俺だけでなく、沙夜自身も怖いのだろう。




「どこに行きたいんだ?」


「無難に遊園地とか行きたいです!あと、買い物してカラオケとかもいいですね。

 私こう見えて歌は上手いんですよ」


楽しそうに語る沙夜は愛しくて、そっと俺の腕の中へと誘い込む。


「へっ??ちょっと、悠さん!?」


急なことで動揺を隠せない彼女もまた可愛かった。


「あ、あの・・・・悠さん?」


「夏休みの間に全部行くか。俺からの追加としては祭りも行きたい」


「・・・・祭りもいいですね」


少し慣れてきた沙夜が俺に抱きしめ返してくる。


「約束だ」


「ええ、約束です」

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雨と廃墟と約束 じゃー @zyasyakku

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