第7話 彼女と

あれだけ降り続いていた雨は止み、日の光が差し込む。


「・・・・・雨止んだな」


「・・・・・・・止んじゃいました・・・ね」


光のせいで、沙夜の表情がよく見えない。

それでも心なしか元気がない気がした。


「あのさ俺の家この近くなんだけど、来るか?」


「・・・・・いいんですか?」


「約束だからな」


「JKを家に呼んで何をする気ですか?」


「何もしねーよ!・・・・・まあ、元気になったな」


「私は元々元気です」


「そうだったな」


沙夜が元気になると俺も嬉しかった。





俺達の出会いはただの偶然だった。

俺が『灰色の道』を通って帰ろうと思った日に限って大雨が降り出し、しょうがなく建物の中に入ると沙夜がいた。

彼女はその建物の中がお気に入りで、よく来ていた。そんな時に大雨にあい、俺と出会う。

同じ価値観の男女が雨宿りを通じて仲良くなり、お互いに惹かれていく。

すべてを偶然と片づけてしまえばそれまでなのだが、俺は何か運命的なものを感じた。

だから俺は彼女との関係を続けていくための一歩を進めたのかもしれない。




「・・・・・・・言ってなかったですけど、私の得意技は『百物語』です」


「それってあれか、百個怖い話をすると何かを召喚できるっていう儀式のことか?」


「違います」


「あれ違ったっけ・・・・」


「私と百個の話をすると私に惚れてしまうという、恐ろしい技です!」


「な、なんだってー!」


「だから今夜は寝かせません」


「違うタイミングで聞きたかったな、そのセリフ」


「朝まで語らいましょう!」


「・・・・・・・まあ、もう必要ないけどな」


「えっ・・・?」


「何でもねーよ」





― END ―

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