幕間・手紙

父さんと母さんへ。


 便りが遅くなってごめんなさい。どうしてもやらなければいけない事があって、それが済むまでは連絡が出来ませんでした。

 とても心配をかけたと思います。親不孝な息子で、ごめんなさい。


 少し、最近あった事を書きます。

 大事な人を亡くしました。父さん、母さんはきっと、そういう経験があるかと思います。僕にとっては、初めての事でした。

 その人は僕に色々なことを教えてくれて、大事にしてくれて、僕もその人のために何でもしようと思っていました。

 だから、居なくなってしまったらとても苦しくて、後を追うことも考えてしまいました。

 ごめんなさい。

 今は、思いとどまって良かったと思っています。


 僕がやりたかった事は、少しずつ出来るようになってきました。

 はっきり言ってまだまだ未熟で、全然世の中から評価されるような物ではないけれど、自分なりに自信を持って作っています。

 いつかは父さんと母さんにも見て欲しいです。


 けど、その前にもう一つだけ、やらなければいけない事が残っています。それが済むまでは家に帰ることができません。

 それはとても難しい事なので、どれだけ時間がかかるか、まだわかりません。

 わがままばかりでごめんなさい。

 決して悪いことはしていないので、それは安心してください。


 それでは、暖かくなってはきたけれど、風邪を引いたりしないように気をつけてください。

 体に気をつけて、元気でいて下さい。やるべき事が済んだら、必ず帰ります。

 手紙もまた出します。


ラストより

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る