第6話 冒険者ギルド6~パーティーの紹介を受けましょう~

 「君、パ-ティーに興味ない?」

 いきなり、後方から声をかけてきた者がいた。身長は女性としては高い方だろう。向こうの世界の単位で170cm以上の銀髪の女性だ。スケイルメイルを着込み、背中にグレートソードとドラゴンランスを背負って、腰にフランベルジュとナイフを下げたその女性は、

 「君、新人冒険者よね?さっきまで、ファリナと会話してたから。私の名前はグネット。パーティーでリーダーをしているわ。ジョブ(職業)はドラグーン(竜騎士)とマジックナイト(魔法騎士)よ」

 隣にいるファリナさんは目を丸くしている。有名人だろうか?

 「お察しの通り、僕は新人冒険者です。ジョブはファイター(戦士)です」

 「でも、ジェネラル(将帥)スキルやサムライ(侍)スキルを習得しているわよね?」

 「まあ」

 愛想笑いを浮かべるしかなかった訳で・・・。

 「確かにそんな事は些細なことよ。あなた、私達のパーティーに入らない?」

 僕は助けを求めるべく、ファリナさんに目線を向けると肯定の意味か頷いていたので、

 「じゃあ、話だけでも」

 と、席を移動する事にした。


 グネットさんについていくと大きな円卓の机にビールやら酒らしき飲物が散乱していた。

 「グネット、お帰り~。で、新人冒険者のボウヤはゲット出来たの?」

 灰色のの肌と長髪の女性が声をかけてきた。グネットさんに負けず劣らずがたいがいい。ただ、まるでその衣装は漆黒の色彩で、まるで死神の様な容姿である。

 「ゴクレン、落ち着いて。彼も戸惑っているから」

 ゴクレンと呼ばれたその女性はよく欧米人がやるジェスチャーのように肩をすくめて見せた。見渡すとこの席には男性はいない。どこかに行っているのか?

 「全員、揃っているわね。じゃさっさと自己紹介だけでもしちゃいましょう。私から。名前はグネット。ジョブは一応、ドラグーン(竜騎士)、マジックナイト(魔法騎士)よ。このパーティーのリーダーも引き受けてるわ。ちなみに竜人族ね」

 「次は私か。ラフィという。ジョブはヒーラー(治癒術師)、モンク(修道戦士)、ワルキューレ(戦乙女)よ。基本後衛ね。天使族よ」

 あまり、身長は大きくないその女性は全体の雰囲気が白色だった。天使族と言われて納得がいった。

 「妾はゴクレン。本名は前の2人と同じで恐ろしく長いので省略する。ジョブはハイウィザード(上級魔術師)、メンター(賢者)、デス(死神)じゃな。魔人族だ。」

 なるほど、デス(死神)ね。納得してしまう自分が嫌いになりそうだ。

 「次は私か。名前はオルフィーナ。本名はやっぱり長いから省略。ジョブはスナイパー(狙撃手)、シャーマン(精霊術師)。バリバリの後衛ね。ハイエルフ族よ。私の知る限り、人界に降りてきてる同族は何人か知ってるけど冒険者やっているのは私くらいね」

 華奢な身体に緑色のチェニックを着ていて最大の特徴の尖った長い耳。これぞファンタジーだよ。意外とスタイルもいい。

 「私はグレニーナ。本名は長いわよ。ジョブはエクスプローラー(探索者)、アサシン(暗殺者)、ダークソードマスター(魔剣士)。後衛寄りの前衛ね。ダークエルフ族よ」

 漆黒の衣装かと思いきや、それは肌だけで半革半金属の鎧を着込んでいる。また、オルフィーナさんに負けず劣らずスタイルがいい。身体は華奢だが出るところ出ている。

 「余で最後か。余の名はフェクネス。ジョブはデュエリスト(剣闘士)、ダンサー(踊り子)じゃ。前衛の一角を担っておる。これでも不死鳥族ぞ」

 いかにもという赤い動きやすさを重視した服装だ。身体は女性としては平均的か。しかし、よく考えたらこのパーティー男性もいないが、人間族も僕以外いない。大丈夫なのか?

 「このパーティー、人間族がいないんですね」

 「私達は亜人種の中でも特に特殊な一族ばかりだからね。人間族をいれるメリットが無いのさ」

 「じゃあ、なぜ僕をこのパーティーに?」

 「君、ジェネラル(将帥)スキルの『指揮』を習得しているだろう?だからさ。じゃあ、さっそく、新生パーティーの初クエストといこうじゃないか」

 「これなんかどう?彼のLVにも私達LVにも合ってるよ」

 「どれどれ」


 そのクエスト用紙を見た僕は気絶しそうになった。


 『ゴルゴン退治:場所、イーソの村近郊の湿地帯、適正人数 6人~、適正冒険者LV 5LV~、アコライト(侍祭)必須、経験点100、成長点30、報奨金5000G』

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