第6話
床には、
そこへ、宮女と宦官がどやどやと踏み込んできた。幾たりかは長槍や縄を携え、物騒ないでたちをしている。酔っているのは酒のせいか、それとも
「無礼千万であろう、何事というのか」
しかし、酔いは次の瞬間に醒めた。
「…仙月、なぜ――」
人の群れの中央にいる妹は、いまは軽侮の眼差しをもって、身分が上の筈の姉を
「崔才人、全ては明らかになっております!先ほど皇后様の御膳に毒を持ったという女が捕縛され、取り調べの結果、崔才人の命により罪を犯した、と申しております。また宮外の、恐れ多くも皇后様を
驚愕に眼を見開いた仙花は、
「いやしくも、聖上の寵愛を受ける私に対し、宮女ずれが何を申すか!聖上に…」
仙月は姉の繰り言をぴしゃりと遮った。
「これは皇后様の御命令です!」
仙花はわななきながら妹を見やった。彼女はすでに宦官達の手により宝座から引きずり降ろされ、宮女達の手により金の
「そなたは私を陥れ、殺すつもりか……それはまさしく皇后の意か」
妹は平然と姉を見返した。
「殺す?とんでもない。……もはや私が手を下さずともよいのです」
仙月はつかつかと空の宝座に歩み寄り、いとおしそうにその手すりを撫でた。
「皇后様は、謀反の企てに決して容赦することはありませぬ。かつて
指一本動かすことなく、あなたがやすやすと手に入れたその地位を今度は私が手に入れる。わかりましたか?泥沼を這いずり回り、犬どもと互いに牙を立て、血を流してきた私が褒美の骨としていただくのですよ――。
***
注1「酒令」…酒席で行う遊び。負けたものは罰杯を飲む。
注2「歩揺」…歩くたびに揺れる飾りがついた簪。
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