その5

※これはあくまでも個人的見解です。



日本の人口は大凡1億2700万人。少子化で年々20万人弱ずつ減少している。

十五歳から六十四歳までが7600万人。

十代二十代の人口が2400万人。

十代から七十代までの人口が1億1000万人。

書籍で大ヒットと言われる発行部数は100万部。

十代から七十代までを対象とすれば100人に1人が購入すればいい計算になる(※ちなみに発行部数と販売部数は違うものだが、今回の論点には関係ないので考えないものとする)。

ライトノベルはターゲットが十代二十代なので24人に1人。更には、ライトノベルなら10万部でも充分大ヒットなので、それを思うと240人に1人の計算だ。決して難しい数字とは感じられない。

だが、そう簡単にはいかない。


アメリカのAMAZONで電子書籍の個人販売を始めてしばらく後、ある個人素人作家が100万部販売をしたというニュースがあった。複数の作品で販売価格は安く設定されていたらしいが、それでも100万もの買い手がつくというのは驚きを隠せない。

アメリカの人口は大凡3億2000万人。

英語圏で言うと17億5000万人。

日本語圏人口は日本の人口と同数なのでそれぞれ約2.5倍と13倍だ。

つまり、市場規模がそれだけ違うと言うことだ。

もちろん、年齢や資産、思想や宗教、教育などあらゆる相違点があって単純比較するのは難しいが、それでも数の差はあまりにも圧倒的だ。もしも日本と同率で購入者がいるとすれば、アメリカでなら250万部、英語圏でなら1300万部達成となる。空前の大ヒットだ。


日本の活字離れは進んでいる。電子書籍を含めてもそう言える。紙媒体であろうと電子媒体であろうと、読む人は読むし、読まない人は読まないのだ。

読書をする人に本を薦めることは容易だが、読書をしない人に読書をするように仕向けるのは至難の業だ。

本を手にし、読み、考え、理解する。常に能動的でなければならない上に、個人の能力によって評価が大きく左右される読書というものは、思った以上にハードルが高い。

少子化が進む中、これは致命的だ。

スマートフォン、インターネット、ゲーム、マンガ、アニメ、映画、テレビ、あるいはアミューズメント施設。スポーツや恋愛もそうだろう。

ライバルとなる娯楽は多く、増えるばかり。

押し寄せる少子化の波に、読者層は痩せ細る。


クールジャパンが幻想でないことを祈るしかないのだろうか。


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