第3話 元悪党の日常2

 「生きてるか~」

 「おい、お前さんか。華がねえな。姉ちゃんでも連れて来いよ」

 「馬鹿言うな。お前さんとは、へぼ将棋の相手をするのが関の山だろう」

 「違ぇねえ。アンジェリカ、将棋盤を持って来てくれ」

 「かしこまりました」

 「お前さんの方がよっぽど女っ気があるじゃないか?どうせ政府から派遣された自動人形であることはさて置き」


 「将棋盤をお持ちしました。主様。何かお客様に飲み物とお茶菓子をお出ししましょうか?」

 「いらねえよ。お茶だけでも沢山だ。冷でもいいぞ」

 「ではお茶を二つお持ちいたします」


 「2二歩だ」

 「それには3二金でどうだ」

 「同飛だ」

 「これで詰みだな。お前さんはへぼ将棋の典型なんだよ。大駒を捨てられない。それじゃあ将棋は勝てねえぞ」

 「いいんだよ。くたばり損ないなんだから」

 「じゃあ、俺は帰るわ。またな。可愛い人形さんもまたな」

 「お待ち下さい!このアンジェリカ、自動人形とは言え、人形呼ばわりされる覚えはございません。撤回と謝罪を要求いたします」

 「すまんすまん。つい口が滑っちまった。お前等、自動人形に人形呼ばわりは禁句だったな。こっちが全面的に悪かった」

 「いえ、分かって頂ければよいのです。私も自動人形の分際で出過ぎた真似を致しました。お許しください」

 「じゃあ、喧嘩両成敗という事で、今度こそ本当にまたな」

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鋼の墓守 都総司 @soushi0211

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