第二章

第4話 俺は今誰とも付き合いたくないの

 俺の聞き違いであろうか。今、先輩はなんて言った?この歳で俺はもう難聴になったのかもしれない。この後大学終わったらそのまま耳鼻科に向かおうかしら。


「だ・か・ら、お前らどっちか一郎太と付き合えばいいじゃんか。どうせ2人とも一郎太のこと好きなんだろ?」


 何言ってんだ先輩。この2人が俺のこと好きなわけないだろ。大体こいつらはいつも俺のことを巻き込んで争ってんだぞ。芹沢は子供のときからずっと俺にぐちぐちぐちぐち小言を言うし、小梅に関しては出会ってまだ2週間くらいしか立ってないんだぞ。そんなことあるわけないだろ。


 先輩の発言を聞いて芹沢も、


「はああああああ!私が一郎太のこと好きなわけないじゃない!!ただ子供のときからの腐れ縁なだけし私がこんなやつ好きなわけないじゃない!!ガキだしクズだしノロマだし!!変なこと言わないで!!あんたは部室の隅で石みたいになってなさい!!」


 芹沢も言い過ぎだろ!先輩も泣きそうになってるじゃないか。俺もひどい言われよう。泣きたくなってきた。


「芹沢先輩がいらないなら、じゃあ一先輩は私がもらっちゃいますね♪」


「誰もいらないとは言ってないじゃない!!あんたに貰われるくらいなら私がもらうわ!!」


 貰うもらわないって、俺はものじゃないんですけど!!

 その前にお前ら本当に俺のことほしいのかよ!!争いのためだけに俺をおもちゃにしているだけなら悲しくなるからやめてくれよ!!


「芹沢先輩って一先輩のこと好きじゃないんですよね?好きじゃないなら私が一先輩と付き合うんで邪魔しないでくださいよ。」


「誰があんたなんかみたいなやつと付き合うっていうのよ!!一朗太あんたも言ってやりなさい!!僕には可愛い幼馴染がいるんで彼女はいりませんって!!!」


 ちょい待て、俺だって出来るなら彼女はほしいわ!!大体幼馴染がいるからって彼女がいらない理由にならねーだろ。俺だって誰かと付き合い!!まぁ、今はいらないけど・・・。だから俺は今誰とも付き合いたくないし誰のものにもなりたくないの!!


「大体先輩はなんで俺たちを付き合わせようと思ったですか!?なにかアイデアがあってそういったんでしょ?」


 そう先輩に尋ねると、先輩はしたり顔でこう答えたのであった。


「2人が一朗太のことを好きなのは周知の事実!!僕は争いごとを見るのが大好きだ!!だから2人がもっと争えば面白そうだった。ただそれだけだ!!」


 先輩サイテー!!この人おとなしくてただ面白い人かと思ってたのにただのクソヤローじゃないか!!


 大体先輩は去年俺がフラれたの知ってるはずだろ。

 俺には今彼女を作ることよりやらなきゃいけないことがあるんだよ・・・。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新入生と幼馴染が仲が悪すぎるみたいなんだが shiki @shiki_rock11

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ