『パロディ・茨姫』


誰も触れない様にと


私は城中に茨を張り巡らせたわ


どうせお父様は私を愛してないんでしょう?


どうしてお母様は自分と似てない私を娘だと言えるの?


使用人達だって私の事美しいとか上辺だけでしょう?


要らない、


誰とも関わりたくない


…って思っていたのに。


貴方だけは違った


たった一人、この荊道を潜り抜けて


100年以上前の私を見つけてくれた


時が止まったままの私を抱き締めて


キスしてくれた


私の心の刺ごと、


優しく包み込んでくれた


暖かさを、


人の温もりを


教えてくれた



ねぇ…貴方なら答えてくれるでしょ?


私…本当は望まれて産まれて来たって信じても良い?



    『あぁ、当たり前だ』


良かった…


貴方がそう言ってくれるなら、


私はそれだけで充分よ



これで安心して眠れるわ



最期に…


愛してくれてありがとう



ーそう残し、俺が唯一愛した彼女は


俺の腕の中で穏やかに息を引き取った…ー



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