第2話 要件定義

「世界を滅ぼす・・・」


「冗談パス」


「ちょっとお待ちを長谷様」


「私は冗談を聞いていられるほど暇ではありませんぞ、御曹司殿」


「冗談ではない!!」


「岸村殿!?」


「冗談ではない・・・」


「そうかそなたもそうであったか」

「ワシはうれしい!」

「計画を聞こうではないか」


ズシンと腰をおろした岸村


「岸村殿!!」


きらりと光る瞳で握手する二人


「ではまずはこの国をとることから始めましょう」

「計画はですねぇ・・・」


「ちょっと待った!!」


「なんですか長谷殿」


「目の前で主家の乗っ取りの相談をされて黙っていられるか」


「乗っ取りなんて人聞きの悪い誰がそんなことをするのです」


「目の前で言っているではないか」


「乗っ取るのではない!!」


一堂に言い放ったのは王子様


「私が受け継ぐ、、、そうであろう吉田」


( ̄ー ̄)ニヤリ


「はい、そのとおりでございます。国王陛下」


「ふざけるでない!!」

「菊彦様、お気は確かか?お父上が亡くなられその後継者たるあなたの兄上様も亡くなられた今、確かにあなたは後継者たる資格を持っておられるかもしれませぬ。」

「しかし、お忘れか?あなたの兄上様には助殿という立派なご子息がおられるではありませんか」

「先の会議で後継者たるは助様であること、ご一同も納得されたはず」


「貴様の策略であろう!!」


「!!岸村殿・・・」


「ワシは初めから菊彦様より後継者は他にないと思って居ったわ」


「笑止、散々話し合ったではないか蒸し返されるな岸村殿」

「このことは国の皆に報告させていただく」


「長谷殿!!」


「・・・」


「わかっておられるのでしょう、この集会の意味を」

「あなたもあの方に救われたのでしょう!?」


「・・・われは忠誠を尽くすもの」

「われは亡き国王様のために・・・」


「その国王様が!!」


「!!」


「その国王様が奪ったものをあなたは知っているはずだ、、、」


「・・・」


「この国から、この世からあの方は失われた。あの方を失ったこの世界にあなたは価値を生み出せるのか?」


「生み出すさ。生み出して見せる!」

「人はそうやって生きていくものだろう」


「私は人をやめた、、、」


「菊彦様、、、」


「あの時あの瞬間から私は人足らんとすることをあきらめたのだ長谷よ」


「頼む、この計画は途方もないものだろう。不可能なことかもしれない。」

「しかし、私はそれを望んでいる」

「この手紙を見てから私は確信した」

「途方もない計画に人はいくらあってもまだ足りないだろう。長谷が加わってくれればどれだけ助かるか」

「頼む・・・」


「・・・無理ですよ菊彦様」

「なぜならこの計画はすでにご破算です」

「私がつぶすからです」


「貴様」


「・・・不可能だ世界を滅ぼすなんて」

「そんなものより目の前の欲望を満たす方がはるかに楽で魅力的さ」


「この国を貴様の傀儡にすることか?」


「・・・そうですよ」

「いい国にして見せます」

「あのお飾りの王様の元、欲望の限りを尽くして見せますよ」

「この3人が失脚となればさらに🐫」


「何をする気ですか」


長谷は振り向きざまに剣を抜き部屋の中央の樽に突き刺しながらこう言った


「あのバカ王子を盛り立ててこの手に入るものすべてを手に入れ、思うままにして見せる!山塊の一族は皆滅ぼしこの国の絶対的な支配者になってやる!!」


はーはー


「長谷殿もやはり正気を失っておられるようだ。」


「貴様らに言われとうない」

「!!」


樽の下に血が流れ出ていた。


「!!貴様」


「言ったでしょう私ももう正気ではないのです。」


剣を抜いて吉田も剣を抜き樽に突き刺した


「ふぐっ!!」


樽から聞こえるこもった悲鳴とともに滴り出る血の量が少し増えた


「私はこの心を救ってくれたあのお方を忘れない、あの方を奪ったこの世界を許さない」


岸村も古い刀を樽に突き刺す


「ぐぅぅ!!」


もはや力のない悲鳴が漏れ聞こえる


「わが風前の灯、この一戦にかけよう」


菊彦王子もゆっくりと剣を抜きゆっくりと樽にさす


「われに心なし、心なき者に世界なし、虚構の世界に終止符を、螺旋の人生に終焉を」


「長谷殿、」


「・・・」


樽に刺さった剣を抜きながら


「さっさと計画とやらを聞かせてもらおうか?」

「助殿の死体を片付けてからな・・・」


長谷は血にまみれた樽を蹴り飛ばして、修羅となり抜け殻となった


才気あふれる4人が世界滅亡への相談を始めた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る