舞台袖は、露に濡れつつ

作者 神楽坂いずみ

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★★★ Excellent!!!

――

コンサートは、箱があって演奏家がいて客が入れば成立するか?
──答えは「否」である。

主人公、八重樫透は、国内屈指の楽団専属ステージマネージャー。
演奏者たちのその時々のベストコンディションを引き出すため、
会場の音の反響や照明、演奏者の立ち位置や譜面台の高さなど、
専門的で且つ多岐に渡る繊細な気配りを施すのが彼の仕事だ。

演奏メンバーが変わり会場が変われば、楽曲は違った顔を見せる。
透の仕事には、ルーティーンやテンプレートなど通用しない。
個性的な音楽家たちは円熟した技術と子供っぽい素顔を併せ持ち、
透は彼らと向き合う毎に、自分を見つめ直し、音楽と出会い直す。

気難しくも堅実で力のある指揮者、
弦楽奏者のおしどり夫婦、
変わり者の前衛音楽作曲家、
孤独に震える天才ピアニスト、
そして、ピアニストを志した透自身。

各章それぞれに違った視点から現代のクラシック音楽が描かれる。
密度が高く確かな筆致で表現される演奏シーンは圧巻の一言で、
クラシック音楽に疎い私にも、その迫力と熱量が伝わってくる。
「コンサートホールで生演奏を聴いてみたい」との衝動が起こる。

世間の注目を浴びて晴れやかな舞台に立つ演奏者とはまた違う、
舞台裏だからこその熱くひたむきな人間ドラマがここにある。
実際にコンサートに出向いても、彼の仕事は目に映らない。
小説ならではの音楽の描き方、仕事の描き方がここにある。



余談ながら。
無調音楽など現代のクラシック音楽を研究している友人がいて、
彼女の前職がある音楽ホール専属のマネージャーだったそうで、
有名音楽家による仰天の忘れ物エピソードを聞かせてもらった。
舞台用の靴(スニーカーの上に黒い靴下を被せてごまかした)、
チェンバロの脚(ぴったりの高さのテーブルを必死で探した)、
ドラムセットのシャカシャカ(アシタバの種の袋で代用した)、
面白い話は…続きを読む

★★★ Excellent!!!

――

オーケストラ演奏会の舞台裏の苦労とともに、録音ではない生の演奏会の魅力も伝えている物語です。

自他共に認める素晴らしい職業ではあるものの、表舞台から降りて裏方へ回った人間の心の葛藤も所々描かれています。

そう自分に「言い聞かせている」時点で、真実から遠ざかっていると言わざるを得ない。

この一文が心に残りました。
心に色々なものを抱えながら主人公がどう活躍していくのか楽しみです。

★★ Very Good!!

――

タイトルに惹かれて拝読しました。
読んで良かったです。他のかたにも読んで頂きたいです。
学生時代、コンサートやオペラを何度か鑑賞しました。
この作品を読んでいると、学生時代を思い出し、舞台裏ではこんな動きがあるのか、と想像を膨らませることができました。

物語は開演したばかり。
今からでも間に合います。

さんがに★で称えました

さんがに★で称えました

★★ Very Good!!

――

音楽とは無縁の生活をしている私ですが、そんな風にも見る人には見えるのか、と登場人物の視点から世界観が広がっていく思いがしました。途中ですので、今後に期待します。