パークの危機!!

アルケミスト

第1話

「注意、注意、お知らせします。注意、注意、お知らせします…」

「サンドスター・ロウの安全規定値を超える大量噴出を確認…」

「注意、注意、お知らせします。注意、注意、お知らせします…」

「お客様並びにパーク職員は、シェルターに避難して下さい…」

「注意、注意、お知らせします。注意、注意、お知らせします…」

「大量のサンドスター・ロウの噴出で巨大セルリアンの出現の可能性があります…」

「注意、注意、お知らせします。注意、注意、お知らせします…」


 ジャパリパーク中のラッキービースト達が一斉に緊急避難勧告を発令する。

 各地で慌ただしくヒト達が移動していく光景を目にするフレンズ達。

 パーク職員達も、近くにいたフレンズ達にセルリアンから逃れるように声を掛けるが、中には、それを理解できないフレンズ達もいて、小さな混乱が生じる。


 ジャパリパーク管理局総本部がある「パーク・セントラル」の巨大モニターに日本国総理官邸会見場が突如映し出される。


「国民の皆様、そして現在ジャパリパークにいる全ての皆様にお伝えします。本日11:45頃にジャパリパーク、キョウシュウチホーのアソサンドスター噴火口から安全規定値を超えるサンドスター・ロウの噴出が確認され、海上自衛隊からの連絡によると通常の火山噴火と巨大セルリアンの出現が確認されました。よって、国家非常事態宣言を発令すると共にキョウシュウチホーからの強制退去命令を発令します…」



 ジャパリパーク・キョウシュウチホー管理局。 


「注意、注意、お知らせします。注意、注意、お知らせします…」

「強制退去命令が発令されました。お客様並びにパーク職員は、最寄り港に避難して下さい…」

「ミライさーん」

「サーバルさん」

「セルリアンがいっぱいこっちに向かっているよ、それでアライグマとフェネックが先に様子を見に行ったよ」

「判りました。私も直ぐに向かいます」

「ミライくん、どこへ行くつもりだ」

「局長っ」

「直ぐに避難だ。港に自衛隊の護衛艦が来ているからそれに乗って」

「ええ、私は最後で構いません。それにこの子達のためにできる限りのことはしてあげたいんです。行ってきます…」

「おっ、おい、ミライくん!」



 東京都、総理官邸、政府対策本部危機管理センター。


「キョウシュウチホーから避難は、現在の所87%が完了しています…」

「キョウシュウチホー西岸に巨大セルリアン五体を確認、何れも地上型タイプなので島から出る危険性はないと思われます…」

「ひので港に到着した護衛艦いせから二個中隊がキョウシュウチホー各施設の避難誘導を行っています…」

「総理、護衛艦かがを旗艦とする第4護衛隊群が間もなくパーク沖に到着します…」

「報告しますっ、キョウシュウチホーの偵察を行っていた航空自衛隊RF-4EJがバードリアンの攻撃に遭い、現在交戦中です!…」

「何っ!…」

「報告します! アメリカ合衆国海軍第7艦隊とロシア連邦海軍太平洋艦隊がキョウシュウチホー沖の排他的経済水域に接近しながら展開中ですっ」

「総理っ…」

「直通回線を繋いでくれ、二人と話す…」



 さばんなちほー。

 陸上自衛隊キョウシュウチホー駐屯隊。


「一尉、みずべちほーの避難完了しました」

「よし、こはんちほーも完了した。撤収するぞ」

「了解」

「隊長っ!」

「どうしたっ?」

「キョウシュウチホー管理局からの連絡でパーク職員が一人、さばんなちほーに向かったと…」

「おい、そいつってまさかっ!」

「一尉、第三小隊からセルリアンと戦うパーク職員を発見したと連絡が…」

「あいつ…、おい、直ぐに向かうぞ!」



 アソサンドスター、ジャパリパーク阿蘇神社。


「ニャニャニャニャー!」

「アライさんにお任せなのだー」

「ほいほいー」

「みんな頑張ってっ、後もう少しよ」

「おい、ミライっ!」

「あら、アカネさんどうしたの?」


 アカネ達は、フレンズのサーバル、アライグマ、フェネックを連れてセルリアンと戦うパークガイドのミライを発見する。


「どうしたのじゃないっ、何で避難しない」

「みんなを置いて私だけパークを離れるなんてできないわ。それに考えがあるのカコ博士が残してくれた資料にサンドスター・ロウを浄化する方法があったの。それを試してみるつもりよ」

「局長からお前を連れ戻すように頼まれたんだ」

「まだ方法があるの、だからお願い」


 ミライがこういう態度を取る時は梃子でも動かないことをアカネは知っていた。


「うっ、まいったな…。っで、何処へ行く気だ」

「アカネさん?」

「お前一人だと危なっかしいだろ。あたし達も同行する」

「アカネさん…」

「ただし、危なくなったらお前を羽交い締めにしても連れて帰るからな!」

「はい、ありがとう御座います」

「まったく、お前ってやつは…」



 アソサンドスター、五合目。


「ここよ。さあ、みんな貴重な物を探して」

「はーい!」

「ミライ、その貴重な物ってどんな物なんだ?」

「さあ、私も記録しか見ていないから解らないの」

「大丈夫なのか?」

「ミライさん、こんなのがあったよ!」

「これって…」

「これかっ、ミライ?」

「こっちにもあったのだ!」

「こっちも見付けたよ!」

「隊長っ、総司令本部から通信です」

「はい、アカネです。はい、はっ、はい、はい、解りました」

「アカネさん、どうしたの?」

「ミライ、直ぐに下山するぞ…」

「えっ、どうして急に未だ四神の配置が…」

「後一時間で、攻撃が開始される」

「どういうこと?!」

「日本がジャパリパークで共同研究をしていたアメリカとロシアとの連合軍結成を受け入れた。もうじき三ヶ国の合同航空部隊の爆撃と艦艇からのミサイル攻撃が開始される」

「そんな事をしたらパークやフレンズ達がっ」

「フレンズ達も退避させる。このままセルリアン達を野放しにしたら人類滅亡の危機だと国際社会と上が判断したんだ。解ってくれミライ…、オレだってフレンズ達を誰一人死なせたくない…」

「ミライさん、どうしたの?」

「サーバルさんっ」

「準備ができたのだー」

「ばっちりだね」

「みんな…。そうですね。クズグズしていられませんね」

「一尉っ、上っ!」

「…かっ、みんな、伏せろっ!」


 ミライ達の頭上をアメリカ空軍のB-2ステルス戦略爆撃機が通り過ぎ、そのまま旋回しようとするが左翼から煙を吹き出し、パイロット達が緊急脱出すると、B-2の機体はそのまま浮力を失って墜落した。


「なになに?」

「なんなのだー!」


 空を見ると、バードリアンと激しいドッグファイトをする航空自衛隊のF-2戦闘機が見えた。


「時間がない、ミライっ!」

「ええ、みんな。早く四神をセットするわよ」



 その後―。

 アメリカ、ロシア、日本の連合軍による陸海空の攻撃が開始され、アソサンドスター周辺では、巨大セルリアンと凄まじい激戦が繰り広げられ、中にはヒトと共に戦うフレンズ達の姿も見られた。

 ミライ達の四神フィルターが、サンドスター・ロウを浄化したことでだんだんとセルリアンの攻勢が弱体化し、ほぼ撃滅することには成功するが、連合軍側も多くのヒトとフレンズ達の犠牲が出たことで連合軍総司令部は、ジャパリパークの無期限閉鎖を決定し、日本政府は、「パークの危機」の責任を取る形で総理を始め、全閣僚が内閣総辞職をした。


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パークの危機!! アルケミスト @Alchemist-Erica

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