確かにそこに”在る”異世界で、共に生きることが出来るとても稀有な物語。

丁寧で生活のひとつひとつがしっかりと描かれた、その場に人々が息づく超大作長編ファンタジーその2。

相も変わらず、地続きの如く抜けのない世界が広がっており、このお話を読むだけでその世界を見守っているかのような。
まるで歩いてまわっているかのような、そんな速度で世界に入り込むことが出来る幅広さがあります。

映画のようなジェットコースターでも、各名所だけを見て回るアトラクションでもない。

設営された箱庭、いえ実際にその場に訪れて散歩するかのような感覚。
どこを取っても、どんな人も、そこで生き生活をしている。それらを等身大に見て回るようなイメージ。

とはいえ、あくまで話の中心はシウくんという主人公で。転生してきた彼と、その周辺という形ではあります。

人はゆっくりと様々な体験をしながら、少しずつ成長していく。
シウくんの働きはそれらをちょっと手助けして、あるいは気付かせて。まわりが善い方向へと向かっていく。

お爺さんだったシウくんは少し頑固な部分もありますが、それもこの「その2」では少しずつ柔らかくなって、自分が変えた周囲に良い影響を受けて巡って行く様が見ていて心温かくなってしまいます。
長く見守り続けたからこそ、共に歩んだからこそ感慨深いもの。

この世界特有の「もふもふ」と。
シウくんのチート(モノづくり。やっちゃう感)
周囲の人々と、シウくん自身の相互作用と。

見どころはたっぷり。
読む読む話数もたっぷり。

「その1」から更に増えた仲間たち。
シウくんの過去に繋がる広がり。
学校や王族、貴族。
今作もボリューミーで味わい深いお話がたっぷりです。

他作品のように急激な消費をして大満足する、という話ではありませんがじっくり腰を据えてお付き合い出来る異世界がここに”在る”んです。
はじめはお気楽に。気付けばどっぷりとハマってみませんか?

おすすめな異世界体験です!!

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