第19話レナ先生の巨乳には、おそらく膨大な知識も詰まっている……はず

 僕は落ち着いてから、怜奈先生そしてクラスのみんなに、母親の転勤で名古屋へ移転しなくてはならない話を伝えた。普段だったら僕が話している途中で、茶化したりいじってくるクラスメイトも、このときだけは最後まで静かに話を聞いていた。話が終わってからもしばらく沈黙が続く。

「ご、ごめん。なんか重いよね、こういう話。あと1週間あるから、みんな僕に優しくしてね。テヘ」

 クラスの暗い雰囲気を払拭したくて冗談を言ってみたものの、笑ってくれる人がいないどころか、ツッコミを入れてくれる人すらいない。

 や、やばい。スベッた。この無反応、寒さが身に染みる……。

「えっと、親戚の家から学校に通うとかはできないの?」

 阿川君が沈黙を破り、僕の目を見て静かに尋ねた。

「こっちには親戚とかいないんだ……」

「そっか……」

 僕の答えを聞いた阿川君は残念そうな声でポツリとつぶやいた。

「なあ、一人暮らしとかは?」

 いかにも良いアイデアが浮かんだとばかりに、小木君が明るい声で提案する。

「経済的にちょっと厳しくて……」

「だよな。ワリぃ……」

「いや、全然。色々考えてくれてありがと。なんか、僕の方こそごめんね」

 がっかりした表情の小木君に僕は笑顔で言った。

 その後も、狩野君や渡辺君をはじめ、クラスのみんなが僕のことを考えてくれて、たくさんの意見を出してくれた。中には「怜奈先生と結婚しろ」なんてとんでもないこと言うヤツもいたけど、それはそれで実現したらJカップのおっぱいを毎日揉み放題なわけで……いかんいかん、真面目な話の途中で怜奈先生のおっぱいに引き込まれてしまった。なんという引力、おそるべし。

 クラスメイトたちが、僕のためにこんなにも一生懸命話し合ってくれるなんて思いもせず、再び涙が込み上げてくるのを僕は必死でこらえていた。

 教え子たちが話し合う姿を、怜奈先生はただ黙って静かに見つめていた。

 あっという間に時間は過ぎ、結論の出ないままチャイムの音を聞いたクラスメイトたちは、不完全燃焼といった様子でため息をつく。

「はーい、もう時間よ。有島君、よかったわね」

 教壇に立った怜奈先生が、僕に向かってウィンクした。

「先生、なんもよくないっしょ? 翔平は転校したくないんだぜ。解決策は見つからねぇし」

「小木君、怜奈先生が悪いわけじゃないんだから」

 立ち上がって声を荒げる小木君を阿川君がたしなめる。

「分かってるよ、そんなこと……」

 力のない声で言いながら、小木君はうつむきながら席に座った。

「先生がよかったと感じた理由は2つあります」

「えっ?」

 クラス中が怜奈先生に注目する。

「まずは、困ってる人を助けるためにみんなが意見を出し合い、解決策を模索したことです。これは本当に素晴らしいことよ」

「でもさ、結局オレらの力じゃ何もできねぇじゃん」

 一人の声に、クラス中がやるせない雰囲気で同意する。

「最初から誰かに頼るのではなく、まずは自分たちで考える。そして高校生の力で及ばないときは、先生に頼ればいいのよ」

「怜奈せんせー、なんかアイデアあんの?」

 渡辺君が立ち上がり、大きな声で尋ねる。

 クラスメイト全員が息をのんで怜奈先生をジッと見つめる。

「有島君には、居候させてもらえる親戚がいないのよね?」

「はい」

「そして、一人暮らしができる経済的余裕もない」

「そうです」

 再度確認するように言う怜奈先生に、僕はうなずいた。

「お金をかけずにこのまま生活を続けて、有島君がリン校に通う方法は、格安の下宿に入ることよ」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 クラスに大きな歓声が起こった。

「先生、リン校の近隣にそんな都合のいい下宿あるんですか?」

 狩野君が心配そうに質問した。

「もちろんよ。有島君の下宿先は……」

「下宿先はっ?」

 クラスメイト達が一斉に尋ねる。

「私の家でーす!」

「えぇぇぇぇぇぇぇ!」

 予想だにしない先生の回答に、クラスメイト達の驚きの声が響いた。

 その反応を楽しむように、怜奈先生は腕を組んでギュッと盛り上がったJカップの谷間をプルプル揺らしながら、ニッコリと微笑んだ。

えっ? 僕、怜奈先生の家に下宿するの?

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レナ先生と僕とクラスメイトの日常が卑猥過ぎる パイ吉 @paikiti

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