第7話 レナ先生はマジメな意味でもHな意味でも面倒見がいい!?

 倫理館高校には、普通科クラスと特別進学クラス(通称、特進クラス)の2つのコースが設けられている。前者は中堅高校レベルの偏差値であり、対して後者は県内でもトップレベルの偏差値である。

 毎年卒業する生徒の9割が大学へ進学する倫理館高校は、県内有数の進学校として知られている。

 さらに勉強だけでなく部活動にも力を入れており、全国大会に出場できる強豪と呼ばれる運動部も多い。

 そういった背景から倫理館高校は、来年度よりスポーツクラスを新たに創設することを決定している。

 スポーツ推薦で入学した生徒を対象にクラスを編成し、部活に打ち込みやすい環境を整えると共に、体育系大学進学やプロ育成を目的としたカリキュラムを用意している。

 僕のクラスメイトの小木雄介君も、スポーツ推薦で入学した生徒の1人である。

 小木君は中学時代、サッカー部を県ベスト4まで導いたエースストライカーなのだ。

 学校での注目度も高く、クラスでも目立った存在の彼とまさか僕が友達になるとは思ってもみなかった。

 僕はサッカーのことよく分からないし、テレビで観戦する趣味も無いのだけれど、意外にその他のことで話が合うというか気が合うというか、小木君と行動を共にする機会が多い。

「雄介はスポーツ推薦で入ったんだよね? 来年ってどうなんの? スポーツクラス?」

 昼休み、ギターバッグを肩にかけた阿川君が尋ねると、小木君は首を横に振った。

「いや。スポーツクラスが開設するのは新1年生からで、オレらの学年でスポーツ推薦の奴らが1つのクラスに集められるってことはないらしいぜ」

「そっかあ」

 阿川タケル君は高校デビューを華やかに飾った、イケメン軽音部。

 こういうイケてる系の人種と関わることはありえないだろうと思っていた矢先に、彼から話しかけられ、結局友達になってしまったのだから人生何が起こるか分からない。

「じゃ、オレ部活行くから。翔平、雄介またね」

「ウィーッス」

「うん、またね」

 高校に入学して3週間、今では彼らと名前で呼び合うようになっていた。

 中学時代、特別仲の良い友達もおらず孤立しがちだった僕にとっては大きな進歩であり、大変喜ばしいことである。

「さてと、オレもそろそろ行くとしますかー。グラウンドで準備しとかないと先輩に睨まれるからな」

 小木君が笑いながら立ち上がった。

「小木君、ちょっといいかしら?」

「はい? なんすか?」

 ホームルームを終えたあと、教室に残っていた怜奈先生に呼び止められた。

「有島君もちょっといい?」

「はい」

「狩野君のことなんだけど……」

 先生の表情がいつもと違って暗い。

「栄治がどうかしました?」

「狩野君、先週の木曜日から部活を休んでいるみたいなの。小木君は何か聞いてない?」

「えっ? そうなんですか? 知りませんでした」

「そう……」

 先生はがっかりした様子で言葉を詰まらせる。

 狩野栄治君は阿川君と同じ中学出身で柔道部。彼もまたスポーツ推薦で入学した生徒である。

 身長は163センチと小柄だが、柔道で鍛え抜かれた肉体はものすごい筋肉で、体育の着替えのときなど男の僕でさえ見入ってしまうくらいだ。

 騒いだりするタイプじゃないし、どちらかと言えば静かで控えめな生徒である。

「ケガとか、体調不良が理由では?」

「私もそう思って顧問の先生に聞いたんだけど、そうじゃないって。無断欠席というわけでもないんだけど、はっきりした理由を言わないらしいの。それで同じ中学出身の小木君なら何か心当たりがあるかと思ってね」

 僕の質問に先生は首を横に振り、心配そうな顔で答えた。

「なんか役に立てなくてすみません」

「そんなことないわ。ありがとう」

「同じ柔道部の1年生に聞いてみるのはどうですか? 何か事情を知ってる子がいるかもしれませんよ」

「それよ! 有島君、ナイス」

 先生の顔がパーッと明るくなった。

 僕の手を両手で握り、跳び上げって喜びを表現する。

 Jカップの巨乳が、目の前でブルンブルンと大きく上下に揺れた。

「じゃ、行くわよ。有島君!」

「ふぇ? どこへ?」

「柔道部の1年生のところよ。今、有島君が自分でそう言ったじゃない」

 僕も行かなきゃいけないのですね。

 まあ、部活も入ってませんし、暇してますけど……。

「じゃ、オレ部活行くんで。翔平、ラッキースケベをその手で掴み取れ!」

 スポ根漫画の1シーンみたいに爽やかな顔でバカな発言をしながら、小木君は走って教室をあとにした。

 

 先生と僕は、柔道部の1年生から話を聞くために武道場へ向かった。

 倫理館高校の武道場は、武道系運動部の道場が1つにまとめられた建物である。剣道部、柔道部、空手部、相撲部、弓道部がここで活動している。

「川崎君、ちょっといいかしら? 聞きたいことがあるの」

「はい、なんすか?」

 先生は柔道部の部室前でやってきた1人の生徒に声をかけた。

 おそらく、先生が授業を担当している他クラスの生徒なのだろう。

 川崎君は背が高く、まさしく重量級と思わせるゴツイ体格をしている。

「狩野栄治君、部活を休んでいるわよね? そのことで何か聞いてない?」

「えっ……いや、何も」

 川崎君はとっさに先生から視線をそらし、言葉を詰まらせた。

 あきらかに不自然な態度だ。

 先生もそれを見逃さなかった。

「川崎君が聞いてなくても、何か思い当たるところは無い? 例えば、部活中に何かあったとか」

「い、いや……全然ないっす。先輩も知らないって言ってるし」

 分かりやすい性格だな。

 あきらかに部活中に何かが起こり、それに先輩が関係しているというわけか。

「そう。じゃあ、知らないと言った先輩の名前を教えてくれる?」

「だ、だからホントに何も知らないんすよ」

 鋭く問い詰める怜奈先生に川崎君はタジタジだ。

 額には脂汗がにじんでいる。

 これは、意外と早く答えに到達するかも知れない。

「ねえ、お願い。何でもいいから川崎君の知っていること、教えてほしいの」

 先生が色っぽい声でお願いする。

「そ、そんな……困るっす」

「川崎君、お願い♪」

 先生がブラウスのボタンを1つ外した。

 タユンとおっぱいが揺れて、深い谷間があらわになる。

 さらにもう1つボタンが外され、ピンク色のブラジャーに包まれたJカップが姿をあらわす。

 白くてキレイなおっぱいに走る、一筋の細く青い血管がセクシーだ。

「す、すげー!」

「川崎君は大きな胸、好きよね?」

 100センチオーバーのJカップを目の前にして、川崎君は激しく首を縦に振った。

 僕も心の中で何回も「イエス!」と叫びながら、怜奈先生の巨乳を脳内保存することに全ての神経を費やした。

「先生のバストサイズ、いくつか分かる?」

「えっ? えっと……」

「ほら、もっと近くでしっかり見て♪ よ~く考えて♪」

 先生が両腕を組み合わせ、豊かなバストをギュッと寄せて前傾姿勢になった。

 めったにお目にかかることはできない巨乳の谷間に、川崎君は鼻息を荒くして興奮状態に陥っている。

「ハア、ハア……えっと、100センチのIカップとか?」

「残念。先生の胸はね、もっと大きいわ♪」

「も、もっとですか!」

「川崎君が知ってること教えてくれたら、先生のバストサイズも教えて、あ・げ・る♪」

 怜奈先生は甘い声を出しながら、こぼれ落ちそうな乳房を細い両手でムニュっと持ち上げた。

「あのっ。実は栄治、練習でちょっと膝を痛めたんです。そのあと、乱取りけいこで全然勝てなくなって……」

 そうか。元は練習中のケガが原因だったのか。

 ん? でも、怜奈先生が柔道部顧問に尋ねたとき、ケガが理由ではないと回答されたんだよな。

 と、なるとやっぱり先輩に関係があるということか。

「そう、教えてくれてありうがとう」

「あ、あの。先生のおっぱいって……」

「ふふふ。さっきから先生の胸ばっかり見て。川崎君は本当に大きな胸が好きなのね。先生のバストサイズは、110センチのJカップよ♪」

「Jカップ!」

 川崎君は驚きを隠せない様子で大きな声で叫んだ。

 心なしか体をモジモジさせながら、前かがみになっている。

 そういう僕も、先生がブラウスのボタンを外して見事な谷間を開放した時点で前かがみになっていたわけだが。

「ねえ、川崎君。知っていること、もっと教えてほしいな」

「い、いや。もう、これ以上は……」

 川崎君は困った様子で首を横に振る。

「先生の胸、すっごく柔らかいのよ♪」

 うっとりした表情を浮かべながら、怜奈先生が自分の両手で巨大な乳房を鷲掴みにした。

 先生の細くてキレイな指が、ブラウスの上からムニュムニュとおっぱいにめり込んでいく。

 先生が力を入れてギュッと掴むと、その指が見えなくなるくらいおっぱいにめり込み、見ているだけで柔らかさがよく伝わってきた。

「ウッ、フ~ン♪」

 自分の乳揉みで感じているのか、怜奈先生が悩ましげな吐息を漏らした。

 川崎君は目の前で繰り広げられる先生の行為を、なんとも緩みきった幸福そうな顔で食い入るように見つめている。

「ねえ、川崎君。先生の胸、触ってみたくない?」

「えっ! 先生のおっぱいを……」

 おいおい! そりゃ、まずいだろ!

「だから、川崎君の知ってる先輩のこと、教えてほしいな♪」

 先生がニッコリ微笑みながらムギュっとおっぱいを寄せ、川崎君の体に豊かな谷間を近づけていく。

「ストーップ! 撤収します! 川崎君、ご協力ありがとうございましたー」

「きゃっ!」

 先生の腕を掴んで川崎君から引き離し、走って武道場をあとにする。

 1年生校舎に入ったところで走るのを止めて立ち止まった。

 こんなにダッシュしたのはどれくらいぶりだろう?

 普段、走ることなんてないからめちゃくちゃ息が切れて苦しい……。

 呼吸を整えながら顔を上げると、怜奈先生がいかにも不服そうなふくれ面で僕を見ていた。

 って言うか、先生息切れてないし。先生って思ったより体力あるんだな。

「もう、なんで止めるのよ。もう少しで狩野君が部活を休んでいる理由、聞きだせるところだったのに」

「あんなのダメですよ! 生徒を誘惑して話を聞き出すなんてもってのほかです!」

「そう言う有島君だって、鼻の下伸ばしてずっと見ていたじゃない」

「物事には限度ってもんがあるんです! 越えてはいけない一線というのがあるんですよ!」

 僕は無意識のうちに声を荒げていた。

 こんな風に感情的になることはすごくめずらしいことで、僕自身、内心びっくりしていた。

 しかし、怜奈先生はひるまない。

「有島君も触りたかったの?」

「何言ってるんですか! そんなことで怒るわけないでしょ。先生の行動に問題があるんです!」

「有島君って、いつもおちんちん勃起させながら怒るの?」

「へっ!?」

 先生の指差す先には、僕の盛り上がった股間が……。

「先生の胸を見て、勃起しちゃったの?」

 スッと近寄ってきた先生がわざとらしく尋ねる。

「こ、これはですね、男の生理現象として仕方のないことで……」

「校内で、しかも人目につくような場所で勃起するなんて問題よ」

 先生の口調が僕を戒めるような厳しいものへと変わる。

 あれ? 僕が怜奈先生を注意してたのに、何で逆転してるんだ?

「だって、先生が……」

「先生が何かしら? 有島君、何で勃起したか答えなさい」

 えええっーーー!

 言葉攻めかいっ!

「先生のおっぱいを見て……」

 この展開は絶対間違っていると思いつつ、的確に反論できる自信も無いので素直に答える。

「そう。勃起してしまったことは仕方のないことです。でも、いつまでもそのままというわけにもいかないわ。さあ、いらっしゃい」

 先生が僕の手を握って早足で歩きだす。

「ちょ、どこへ?」

 先生が男子トイレに堂々と入り、僕を押し込むようにして大便器の扉を閉めた。

 手際よくブラウスのボタンを全て外すと、先生はピンクのブラに包まれた豊かな胸を僕の目の前にグッと突き出した。

 片乳がバレーボール並みに大きいのに、張りがあって形の良いバストはY字の谷間を形成している。

 僕の胸に触れるくらいの至近距離に怜奈先生のJカップおっぱいが!

「せ、先生。なにを?」

「有島君が勃起してしまったのは、先生の胸のせいです。つまり先生にも責任があります。だから、有島君の性欲処理を先生が責任もって手伝います」

「はあああ? 何言ってるんですか!」

「有島君が、おちんちんシコシコするのに先生の胸をおかずにしても構いません」

「より簡潔に、さらに卑猥に説明しなくて結構です! 意味が分からなかったわけじゃないんで」

「そう、なら話は早いわね。さあ、遠慮しないで。先生は向こうを見ているから」

 そう言いながら、怜奈先生は僕から視線をそらした。

「先生の目の前でそんなこと出来ません! 僕は平気ですから。もう服を着てください」

「そ、そうなの? 有島君がそう言うなら……」

 僕がキッパリ言うと、先生は少し驚いた様子でブラウスのボタンを締めて、男子トイレから外へ出た。

「まったく、先生はすぐに脱ぎすぎるんですよ。それに強引すぎです。気をつけてください!」

「そうなのかしら?」

「そうなんです!」

 強く言う僕に、先生は叱られた子供のような表情でペロリと舌を出した。

 その表情がさっきまで誘惑的だった先生とギャップがあって、すごく可愛くて怒る気さえ失せてしまった。

「でも、収穫あったでしょ?」

「まあ、確かに。それは怜奈先生のおかげですけど」

「あとは、狩野君が先輩との間で何があったかね」

「僕は先輩との繋がりとかないんで、部活やってる小木君や阿川君に協力してもらえないか聞いときます」

「ありがとう、有島君。よろしくね。じゃ、先生は職員室に戻るから。気をつけて帰ってね」

 嬉しそうに微笑む怜奈先生につい見とれてしまった。

 怜奈先生は、パツンパツンに膨らんだブラウスの大きな胸を、ブルンブルンと上下に揺らしながら、足早に去っていった。

 練習中にケガをした狩野君。

――そのあと、乱取りけいこで全然勝てなくなって……。

 川崎君の言葉が頭をよぎる。

 部活を休みだした背景には柔道部の先輩が関係している。

 何となく、全体像がぼんやりと見えてきた気がした。

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