第5話 レナ先生が言うと保健室がエロい場所に思えてくる

 僕は両親と手をつなぎ、お気に入りの動物園を歩いていた。

 幼稚園の頃から何度も連れてきてもらった隣町の動物園。

 お父さんが休日に「今日はどこへ行きたい?」と尋ねるたび、僕は飽きることなく「動物園に行きたい」と即答したものだ。

 家族3人で過ごす日曜日の動物園。

 お父さんとお母さんはよく笑い、2人のその笑顔を見ていると子供ながらに「幸せってこういうものなんだなあ」としみじみ感じたものだ。

 僕の手を握っていたお父さんが、ふいに手を離した。

 そのまま、お父さんは1人で先に歩き出す。

 僕とお母さんをその場に残し、お父さんがどんどん離れていく。

 どこへ行くの?

 お父さん、行かないで!

「お父さんっ!」

 必死に追いかけた僕はお父さんの腕を掴んで……。

 ん? ムニュムニュとした心地よい感触。

 この柔らかさは……。

 僕の右手がしっかりと掴んでいたものは、おっぱいだった!

 しかも、手の中には収まりきらない大きなおっぱい。

 怜奈先生のJカップには劣るものの、たっぷりとしたボリューム感は立派な巨乳と呼ぶにふさわしい代物である。

「いい加減に離せ! 変態」

「ぐはっ……」

 みぞおちに重いボディブローを頂戴し、息が詰まった。

「おいおい、美里君。患者に乱暴はいけないよ」

「こいつのどこが患者ですか。目を覚まして早々、ナースの胸を鷲掴みする変態ですよ」

 ん? 患者? ナース?

 そうか、確か僕は美術室で倒れた怜奈先生を受け止めようとして……。

「有島くーん。大丈夫?」

 怜奈先生が僕を力強く抱きしめる。

 おっ、おっぱいが顔に当たって、柔らかいしいい香りだし、まさに天国!

「ぷはーっ。僕、怜奈先生のこと、一生忘れません」

「有島君、そのセリフは卒業式までとっておきなよ。オレたち入学したばっかだよ」

「その様子なら心配いらねーな。またしてもラッキースケベとは、羨ましい限りだぜ」

 阿川君と小木君が笑いながら立っていた。

「どれどれ、もう一度診させてもらうよ。失礼」

 白衣を身にまとったロマンスグレーの男性が、聴診器を僕の胸に当てる。

 ボーっとしていた頭がはっきりしてきて、やっと状況を飲み込めた。

 怜奈先生のおっぱいに顔を挟まれ、酸欠状態になった僕は保健室へ運ばれたのだ。

「ふむ、問題なしと。気分はどうかな?」

「あ、はい。非常にいい気分です! イテっ」

 突然ポカリと頭を殴られた。

 見上げると、怜奈先生とは対照的な可愛らしい幼顔で、背の低い小柄なナースが眉間にシワを寄せていた。

「ふざけるな! 寝起きに私の胸を揉んで、さらに怜奈の胸に顔を埋めて『いい気分です!』だと」

「わっ! ロリ巨乳!」

「誰がロリ巨乳だ、コラっ!」

 カワイイ顔して恐ろしいロリ巨乳ナースが拳を振り上げる。

「ちょっと美里。有島君が怯えてるじゃない。有島君は私の命の恩人なんだから、優しくしてあげて」

「チッ。ったく、怜奈は甘いんだよ。そんなだから生徒に舐められるんだよ」

 ロリ巨乳ナースが舌打ちして僕を睨みつける。

「私、まだ1度も生徒にクンニされたことないわよっ」

「当たり前だっ! バカ怜奈」

「いたっ」

 ポカリと軽く小突かれた怜奈先生が涙目で頭をおさえる。

「これ、2人とも、その辺にしときなさい。有島君は保健室に来るのは初めてだったね」

「はい」

「私が校医の石井です。そして彼女が、看護士の鈴木美里君。よろしく」

「どうも。よろしくお願いします」

 美里さんは僕と目を合わせようとせず、プイッと顔をそむけた。

 そういえば、倫理館高校には専属の校医と看護士が常駐しているんだった。

 倫理館高校を経営している学校法人野村学園は、他にも女子高と短大、そして大学を所有している。

 大学には医学部もあり、大学病院から校医や看護士が派遣されている。

「では、私は先にあがらせてもらうよ。お疲れ様」

「先生、お疲れ様です」

 笑顔であいさつして、石井先生は保健室をあとにした。

「オレもそろそろ部活行くわ。有島、看護士さんと怜奈先生にセクハラすんなよ」

「有島君、また明日ね」

 小木君は楽しそうに僕を茶化し、ギターバッグを肩にかけた阿川君は笑顔で僕に手を振った。

 石井先生が帰り、小木君と阿川君が保健室をあとにすると急に静かになって、何となく気まずい感じになってしまった。

 美里さんを改めてよく見ると、細くて小柄な体に不釣合いな巨乳がすごく目立っている。

 隣に怜奈先生が並んでいるため、彼女のJカップに見劣りしてしまいがちだが、白いナース服の胸は大きく盛り上がり、一般女性と比較すると美里さんは明らかに豊満なバストの持ち主である。

「美里はね、私の高校の同級生なのよ」

「えっ、そうなんですか?」

「ちょっと怜奈、余計なこと言わなくていいから」

 美里さんは怜奈先生より若いと思っていたから少し驚いた。

「いいじゃない。せっかくだから色々お話して親睦を深めましょ」

「生徒と馴れ合い過ぎるのも、私はどうかと思うよ」

 美里さんは事務的な口調で言いながら、怜奈先生を見つめる。

 そんなことはお構いなしに、怜奈先生は勝手に話し始めた。

 2人は野村学園文武女子高等学校で3年間同じクラスだった。

 いわゆる親友と呼べる仲で卒業後も交友は続き、一昨年この高校に同時期に赴任してきたのだ。

「高校のころはね、美里モテモテだったのよー」

「何言ってんのよ。それは怜奈でしょ」

「このおっぱいで、何人の男子を夢中にさせたことか。ウリウリ~」

「ちょ、やめてよ。あ、アン」

 美里さんの背後から怜奈先生がおっぱいを鷲掴みにする。

 気丈に振舞っていた美里さんから色っぽい声が漏れた。

「ではここで問題です! 美里の胸は何カップでしょうか?」

 怜奈先生に尋ねられ、僕は美里さんのおっぱいをマジマジと見つめた。

 その間も怜奈先生の手は終始休まず、ナース服に包まれた巨乳をグニュグニュとこね回している。

 服の上からでもよく伝わってくる柔らかさと、ボリューム感。

 怜奈先生の手には収まりきらない豊かな2つの膨らみ。

 先生の手つきが激しくなり、強く鷲掴みする指が柔らかな巨乳にグニグニとめり込んでいく。

 た、たまらん!

 怜奈先生の手になりたい……。

 長身でJカップのキレイ系女教師に、おっぱいを弄ばれるロリ巨乳ナース。

 あまりのエロさに僕の股間はヒートアップし、胸のサイズを考えるどころではなかった。

「ブー! 時間切れでーす。答えは、90センチのGカップでしたー」

「いい加減にせいっ!」

「きゃっ」

 美里さんが怜奈先生の腕を掴んで振りほどく。

 90センチのGカップ!

 高校生と言っても通用しそうな幼顔と小さな体には、あまりにもギャップのあるバストサイズだ。

 ウェストが細くてくびれているためか、Gカップの胸はより大きく見える。

「すごいスタイルですね。そんなに細いのに」

「べ、別に細くなんかないわよ。あんましジロジロ見ないでよ。変態」

「す、すみません」

 さっきとは違い、美里さんの口調は怒ってはいなかった。

 むしろ照れているみたいで、可愛らしかった。

「あ、私仕事残ってたー。職員室に戻んなきゃ。有島君、助けてくれてありがとね」

 怜奈先生は僕にウィンクして、慌てた様子で保健室を出て行った。

「なんか怜奈先生って、台風とかハリケーンみたいですよね」

「ははは。上手いこと言うな。怜奈は高校のころからホント変わらないよ」

 初めて美里さんが笑顔を見せた。

 僕は何だかホッとした。

「じゃ、僕もこれで失礼します。ご迷惑おかけしました。以後気をつけます」

「アンタさ、へんなとこでいい子って言うか、気使いすぎだよ」

「へっ?」

「高校生ってさ、体はほぼ大人だけど、心は意外と子供のままなんだよ。だからさ、もっと大人に甘えたっていいし、遠慮しなくたっていいと思う。もちろん、最低限度のモラルやマナーは大事だけどな」

 穏やか口調で語る美里さんの眼差しはとても優しかった。

 こんなことを大人の人に言ってもらったのは初めてのことで、彼女の言葉の一つ一つが心にジーンと響いた。

「ありがとうございます。ちなみに美里さんは、おっぱいは大人だけど顔は子供のままですね」

「一言多いんだよっ!」

「ぐはっ……」

 本日2発目の強力なボディブローが、僕のみぞおち目掛けて炸裂した。

 照れ隠しで言ったつもりなのだけど、美里さんには冗談が通用しないらしい。

「おい、大丈夫か? そんなに強く打ってないぞ。しっかりしろって」

「いいパンチ持ってるな。なあ美里、オレと一緒に世界を目指さないか?」

「はいはい、その様子なら平気ね。アンタは世界目指す前に、とりあえず自宅を目指して帰宅しなさい」

 軽くあしらいながら、美里さんは僕の腕を掴んで体を支えてくれた。

 左肘に美里さんの横乳がプニュプニュ当たる。

 ロリ巨乳ナース、マジ天使!

 かすかに触れるGカップの柔らかな感触をもっと味わっていたいという欲望をグッと我慢し、笑顔の美里さんに手を振って保健室をあとにした。

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