第26話
翌朝は休日だった為、私は子供達に葉野君の事を改めて話した。
「士雨、奈々。 ママね好きなひとがいるの。 『パパは来ない』と言ったけど、ママはパパになって欲しいと思ってる……。 ごめんね……。 でも分かって欲しいんだ。 今度その人に会ってくれないかな?」
士雨と奈々の部屋のベッドの上、私は真剣に話した。
「ママもう悲しい顔しない?」
「ママ幸せになる……?」
二人の言葉に驚いた。
私の気持ちを見抜かれていたんだ。
情けないやら申し訳ないやら……。
「あなた達と一緒に幸せになりたい。それがママの願いよ。 だけどその中に新しい家族が来てもいい……?」
恐る恐る尋ねた私に 「いいよ……」
士雨がそう言ってくれた。まだ完全には納得などしていないだろう。けれど自分の中で一生懸命理解しようとしているのだろう。
「奈々もいいよぉ」
こちらはどごで理解しているのか……。けれど奈々なりに理解しようとしている様な……。
「じゃあ今度のお休みの時に、その人と会ってくれる? お名前は葉野紘斗さん」
「分かったよ」
「うん」
落ち着いてゆっくり話せて良かった。実際葉野君と会ってみないと分からないけれど、きっと受け入れてくれると願いたい……」
『もしもし葉野君? 子供達の了解得たよ。 今度会って欲しいって言った」
『そっか、 良かったよ。 いよいよご対面だな』
『うん。 宜しくね』
葉野君に報告の電話をし、会う日取りも決めた。
そして私は自分の母親にも色々話した。
母親は 『貴女が決めて、子供が幸せになればいいよ』
それだけ言った。
実際葉野君とも会う事になるだろう。
それから元夫に電話をし、やっぱり再婚を考えている事と、それでも面会は変わらずにと話した。
『本気なんだ……? だったら何も言わないよ。 子供達の幸せ考えてるなら』
『勿論最優先だよ』
『ならいいよ』
『ありがとう……』
思いの外すんなり了承したのには驚いたが。
少しずつ、少しずつ。私自身も周りも前を向いて歩き出している。
私の二十年越しの片想いも動き出している。
叶わないと諦めた片想い。
夢にまで見た葉野君との再会。
それは偶然ではないと信じたい。
この世の中に偶然など無く、全ては必然。
私はそう思いたい。
これからの未来を考えると不安だらけだ。
でも……。決して後ろは振り向かない。
前を見据え、顔を上げて歩いて行こう。
同級生。〜二十年後のかたおもい〜 栗田モナカ @Seriemi0113
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