それは所謂大会で

園生

序章

大きく鳴り響くファンファーレと共に、その男はポンッと、何処からともなく闘技場の中央、観客の目の前に現れた。


『レディース&ジェントルマン!!長らくお待たせ致しました!!我らが世界最大の大会、【ライトステージ】の予選が、遂に開始されます!!』


恐らく進行係であろう彼は、この世界で“魔道具”と呼ばれる小振りな機械に向かって叫び始めた。

俗に言う眉目秀麗な顔立ちをした彼は、この辺りではまず見かけない長い白色の髪を結ぶことなく背に垂らし、大会の関係者である証の、襟口に青色の薔薇の刺繍が施された、染み一つ無い純白の背広を纏っていた。その姿に、観客席の一部からうっとりとした溜息が零れる。


『五年に一度行われるこの大会!!この国で先週から降り続けていた雨さえも吹き飛ばす皆様の熱気!!大会開催にはこれ程の良日は無いと言えるでしょう。皆様もそう思われませんか!!!』


観客席から飛んでくる歓喜の声や拍手に負けずと、手に持つ拡散機の道具に向かって大きく口を開き、客に問いかける。


それを入場門の扉の前で聞いていたオレも彼らに問いかけたい事があった。



“どうしてオレは此処にいるのか”と。



ちらりと周りを伺うと、目に入るのは殺傷能力が高い武器を弄る、自分より遥かに屈強そうな男達。



「いや、無理。やっぱり無理。ほんと無理」



まだまだ続く司会の声に耳を傾ける事なく俺はぼそりと呟いた。



----時は数週間前に遡る

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それは所謂大会で 園生 @sonoo_

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