STAGE:19 その時、歴史が動いた

 その昔、僕はとあるゲームレビューサイトを運営していました。

 

 とにかくプレイしたゲームをワガママにレビューするというコンセプトのサイトで、ホント、好き勝手に書いていました。

 今から思えば相当いい加減なことを書いていたように思います。

 

 が、それでもとても多くの人に見てもらい、僕のようなゲームファンから、中には業界の人とまで触れ合うことが出来ました。


 で、当時、そのサイトの掲示板でよく交流していた子がゲーム専門学校を経て、無事某ゲームメーカーに就職しました。

 そして確か彼が入社して二年ぐらい経ったある日のこと、一緒にご飯を食べている時に「実は今担当しているゲームのキャラクターデザイナーがまだ決まらないんだけど、誰かいい人いませんかね?」って相談を受けたのです。


 彼が就職したメーカーには業界でも有名なデザイナーさんがいました。

 でも、決まっていないってことは、その人をあえて使わないわけですし、正直、入社してまだ日も浅い彼がそんな人気作に関われるわけもないだろうと思ってました。

 

 何のゲームを作っているのかは勿論教えてもらえませんでしたが、とあるシリーズの続編とのこと。

 そのメーカーの作品を幾つか思い浮かべ、彼が配属されそうなタイトルがなんとなく見当が付きました。

 ふむ、アレか。

 んー、前作の雰囲気を受け継ぐのなら、あの人とか、あの絵師さんがいいな。

 がらっと変えるのなら、あの人がいいかも。

 焼き肉を食べながら(彼には自分のお店でゲームをいっぱい買ってもらったので、焼き肉は自分の奢りです)、まぁ思いつく限りテキトーに名前を挙げました。

 

 そして、ふと彼が勤めるメーカーのあるタイトルを最近プレイしたことを思い出し「そう言えば、おたくの〇〇をプレイしたけどさ。アレ、ゲームそのものはこれと言った特徴がなくて凡作だったけど、あのキャラデザの人はいいんじゃない?」って切り出したんです。


 すると彼は「いやー、あのタイトルは結構うちでも評価はアレなんですけど、そうか、でも確かにあのキャラデザはいいですよねー」なんて乗ってきました。

 僕が思い浮かべたタイトルとも、そのデザイナーさんなら雰囲気はばっちり合ってるし、なにより彼の反応が良かったことから「うん、俺ならその人を使うわ」なんて言ったのを覚えています。


 と、そんなことがあって数ヶ月が経ったある日のこと。

 そう言えば彼が作っているゲーム、そろそろ発表にならないかなぁと思っていた矢先に、そのゲームがファミ通に載りました。


 が、そのタイトルを見てびっくり。


 僕が思っていたものとは違いました。

 正直、思っていたよりもずっと大きなタイトルでした。

 そしてキャラデザは例の僕が押したデザイナーさんになっていました。


 思わず「おい、ふざけんな! こんな人気タイトルだったら、もっと真面目に考えたわ!」と叫びましたね。


 勿論、僕如きの提案でデザイナーさんが決まったとは思ってもいませんが、まぁ、でも、もし僕があの時にあの名前を出さなかったら、もしかしたら今頃は違う人がキャラデザをしていたかもしれない。

 そう考えると、我ながら歴史を変える(実際、そのシリーズはそこから大人気作品となります)とんでもない発言をしてしまった、と今でも時々自慢してしまいます(オイ

 

 ちなみに僕が当初考えていたのは学園ダンジョンもの……と言うと、詳しい人は分かっちゃうかもしれないので今日はここまで。

 ではでは。

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