STAGE:16 見つめられると素直におしゃべりできない

 皆さんは何かあった時に緊張するタイプですか?


 僕はかつてすごく緊張しいでした。

 そんな自分がライターになって、有名なクリエイターさんにインタビューしてたわけですから、最初は本当に胃が痛かった覚えがあります。

 でも、あることがあってから「アレと比べたらどうってことない」と自分に言い聞かせて、落ち着いて対応する事が出来るようになりました。



 その出来事とは、任天堂がGCで『バイオハザード』シリーズの独占契約を結び、その発表会でのこと。

 急な話だったのでカメラマンの人は休暇を取っており、仕方がないのでカメラも僕がやることになりました。

 ちゃんと勉強してないのでヘタクソですが、まぁ数多く取れば何枚かは使えるものがあるわけで、この時はあまり緊張はしませんでした。


 発表会はつつがなく終わり、質疑応答のあと、関係者のフォトセッションへ。

 群るプロのカメラマンに混じって僕もパシャパシャとシャッターを切っていました。

 で、このフォトセッション。せっかく写真を撮る場を提供してくれているわけですから、目線がこちらに向いたものを撮りたいわけです。

 だからみんな「こちらに目線、お願いしまーす」と声を張り上げる。

 そしてそれにつられて僕も調子にのって「次はこっちにお願いしまーす」とか言ってしまいました。

 

 すると僕の方を見たんですよ。

 壇上で握手を交わしていたカプコンの三上真司ディレクターと、そして任天堂の宮本茂さんが!


 その瞬間、一気に緊張しました。


 三上氏、はともかくとして(失礼)、あの世界の、ゲーム業界のレジェンドとも言うべき宮本茂が、この僕を見つめている!


 調子に乗って声をかけたものの、緊張のあまり手が震えて、なかなかシャッターが押せませんでした。

 おまけに撮れた写真も手ブレが酷くてね。

 結局、目線が少しずれた写真を記事に掲載した記憶があります。


 これが僕の人生の中で一番緊張した出来事です。

 おかげでそれからは「宮本茂に見つめられたことを考えればたいしたことない」と、結構突っ込んだ質問をインタビューでばんばんするようになりました。


 人間、一度修羅場を潜り抜けると妙に肝が座るって本当ですね。

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