STAGE:5 合言葉は?

 まずは最初にお詫びをひとつ。


「STAGE:3  ゲームで結婚するという都市伝説」にて誤表記がありました。

『GUNPEY』を誤って『GUNPEI』に、『鯨武長之介』氏を間違って『鯨武長之助』氏と表記していると、長之介氏自ら指摘を戴きました。


 すでに修正をしております。


「長之助」という誤表記は以前からよくやっているのでともかく、かの横井軍平氏の傑作ソフト『GUNPEY』の表記をミスってしまうとはゲーマーとして由々しきことであると深く反省しております。

 申し訳ございませんでした。



 さて、そんな鯨武長之介氏が先日、徳間書店の『幻の未発売ゲームを追え!今明かされる発売中止の謎』という本を購入したというツイートを見かけました。


 自分もちょっと気になっていた本です。

 製作発表はされたものの、いつまで待っても販売されることがなく消えていったゲームソフトは決して少なくありません。

 ああ、死ぬまでに『クロス探偵物語』の続編をやりたいなぁ(一度企画中止がアナウンスされたものの、昨今開発会社ワークジャムのタイトル版権がアークシステムワークスに譲渡され、復活の希望が出てきました)。


 そして僕の中学生時代からの友人もまた、ある一本のゲームの続編をかれこれ20年以上待ち続けています。


 そのタイトルの名は『ホーリーナイト』。


 と言っても、多分ほとんどの方は知らないでしょう。

 なんかタイトル的に『Fate』シリーズっぽいですが、全然違います。

 これは1988年~89年にかけてPC88やMSX2で発売された『アンジェラス』というADVの続編にあたります。


『アンジェラス』は当時まだまだスペックが低かったマシンで、登場人物の顔色がみるみるうちに緑色になって苦しみ出して変死するというシーンのアニメーションが話題になった、ホラー色の強いミステリーADVでした。

 

 面白かったのですが、いかんせんシナリオが中途半端で、ほとんどの伏線を残したまま終わっています。

 そしてその伏線を回収し、完結するであろう作品が『アンジェラス2 ホーリーナイト』でした。


 僕の友人はこの『アンジェラス』が大好きで、学生時代はよく「いつホーリーナイトは出るのかな?」と話していました。


 しかし、待てど暮らせど『ホーリーナイト』が出ません。

 PCエンジン版が出ると情報を得て、PCエンジンまで友人は買ったのに、やはり出ません。


 そうこうしているうちに学生時代が終わり、友人は地元で警官になりました。

 彼は正義感が強いとか、ガタイがいいとか、そんなことは全然ありません。

 なお、僕の友人にはもう一人別に警官になったのがいますが、彼も同様です。どうして彼らが警官になったのか謎です。

 ちなみに後者の友人が警察学校に入る際に僕に残した言葉は「ああ、警察学校に入る前に『魔界天使ジブリール2』を遊びたかった」でした。

 大丈夫でしょうか、日本。


 話がそれました。

 とにかく友人は警官になり、順調に出世しています。

 五年程前には結婚もしました。


 僕は上京してしまったので、滅多に会うこともないのですが、今もお正月には年賀メールのやりとりをしています。


 で、そのやりとりで必ず合言葉のように友人が尋ねてくるのが、

「ところで『ホーリーナイト』はまだ出ないのか?」

 です。


 僕も

「ああ、残念ながらまだその日は来ていない」

 と答えています。


 そんなやりとりを十年以上続けています。

 聞けば友人はもうゲームをやっていないそうです。

 でも、それでも『ホーリーナイト』のことだけは忘れない。

 ある意味、この作品が友人とゲームを繋ぐ最後の糸のように感じています。


 プレイすることで色々な思い出が生まれるゲームソフトですが、プレイしなくてもこうして自分たちの中で生き続ける。

 面白いものだと思います。

 この友人の為にもメーカーにはいつか『ホーリーナイト』を作ってあげて欲しいと願ってはいますが、同時に「このまま一生『ホーリーナイトはいつ発売されるのか?』って話題で盛り上がっていたい」と思ったりもします。

 きっと友人も同じなのではないでしょうか。


 未発売ゲームというのは、発売前のワクワク感をずっと与え続けてくれる貴重な存在なのかもしれません。


 ま、それはともかく僕も『幻の未発売ゲームを追え!今明かされる発売中止の謎』を今度買って読んでみようかなと思います。


 なお、最後になりましたが、鯨武長之介氏の処女作『モノクローム・サイダー』絶賛発売中です。買ってあげてください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る