イースターの朝

ノーバディ

第1話 イースターの朝

戦闘開始まであといくらかの時間の猶予がある。

俺は静かに格納庫の扉を開け、内部に侵入する。


これだ。


専用ケースに厳重に守られたブツを取り出す。

二つ同時に持つのは危険だ、今日のところは一つでいい。

俺は素早く格納庫の扉を閉め、何事も無かったようにブツを運ぶ。

今日は上物が入ってる、例の白い『アレ』だ。

ここに来る前に状態を確認したが、一級品であることは疑う余地もない。


さて、あとはこのブツだ。

コイツはちょっとの衝撃でオシャカになる。力加減が難しい。

俺は過去にコイツに何度となく泣かされている。

今日は上手く仕留められるか。

手のひらにジワリと汗がにじむ。この緊張感だけは何度やっても慣れられるものではない。

俺は覚悟を決めて、熟練の力加減でそいつに衝撃を加えた。


時が止まった。


上手くいったか。

ブツは長い糸を引きながら、例の上物の上に流れ落ちた。


……最高だぜ。


俺はニヤリと笑うとそこにキッコーマン濃口を注ぎ、一気にかき混ぜて豪快に口の中に流し込んだ。


「うめえ!!!」

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イースターの朝 ノーバディ @bamboo_4

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