第12話ひきこもり夢を語る
斗真は、ひきこもりの娘をどうにかして欲しいと相談された。
「お客様、うちは民間のハローワークなのでそこまでは入り込めないんですよ。まことに申し訳ないです。」
「所長に話を通して佐伯美香がって言えば分かるから。」
「はい…。」
所長に内線電話した。
所長は、慌てて斗真と佐伯の前に現れた。
「どうしたんだ?」
「あなたは娘がかわいそうじゃないの?」
「所長、あの、」
「わたしの妻だよ…。」
佐伯所長は、複雑な顔をしていた。
次の日から、斗真は部屋の中にとじ込もっている娘さんに話しかけていた。
「実は、ぼくも高校生の時に不登校になってね。原因が特別ある訳でもないんだ。」
斗真は、毎日のように通っては自分の話をしたりした。
ある日、扉が開いた。
スッと白くて細い足が出て来た。
斗真の目の前に現れたのは美少女だった。
「初めまして。」
「毎日来てくれてますよね。」
「ごめん、迷惑だよね?」
「いいえ、斗真さんのお話面白いですよ。」
「佐伯檸檬です。」
部屋の中は整理整頓されていて綺麗だった。
「何か想像と違うな…。」
「わたしは、引きこもりではないですよ。」
「じゃあ、何で学校には行かないの?」
「海外派遣使節団に入って世界中に行きたいんです。」
「ああ、それならうちの求人にもあるよ。」
「両親に話したらとんでもない!って言われて冷戦状態です。」
ふーんと斗真は呟いた。
「それで学校をボイコット?」
「そうです。後は、同級生の子達と話が噛み合わないんです。」
「それは困ったね。海外派遣使節団も良いけど、檸檬ちゃんさ、今は今しかないんだからさ、学校行ってたくさんイタズラしたり勉強したりしてみなよ。将来、海外派遣使節団に行くにはそんな共同生活が大切だと思うけど。」
「群れるの嫌なんです。」
「うーん、仕方ないな…。」
民間ハローワーク 転ぶ @Ken123
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます