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「とにかく、合格です。総合得点を考えると
問いただそうにも、無理矢理話を切り替える司令官にそれ以上の追及は出来なかった。
いや、むしろ追及されたくないが故のセリフだったのだろう。ならばそれ以上の発言は憚られた。
仕方ないので、司令官の発言を反芻する。
総合得点が悠太を僅かに上回っている。
それは、どれほどのものなのだろうか。司にはまるで判断がつかなかったが、それで自分を『天才学者』と符合させるだけのものなのだから、そこそこ高いのだろう。
司はふと、智治の言葉を思い出した。
『多分そいつ、月見里とおんなじかそれ以上だぜ』
智治が言っていた通りだ。
彼は、自分のどこを見てそう思ったのだろうか。まるで、預言のようだ。
不思議と怖いとは思わなかった。
ただ、少しだけ、引っ掛かった。
知識が何か言おうとしている。でも、その答えを自分は持っていない。
「おめでとう、神宮寺くん! これからよろしくお願いするよ!」
志紀はそう喜んでくれたが、司は妙な不安を覚えた。
それが何なのかは、よく分からない。
無反応を気にすることなく、志紀は司の肩を叩いた。
「じゃあ早速みんなに報告しよう。これからはチームとして一緒に戦う仲間だからね」
「……はい。よろしくお願いします、先輩」
『仲間』
照れくさい言葉にはにかみながら答えると、志紀が嬉しそうに笑みを深めた。
「さあ、ブリーフィングルームに行こう。ちょうど授業が終わって、みんなまだいる頃だろうから」
みんな、とは、あの三人のことだろう。自分が入ることに反対していた涼と悠太がどういう反応をするのか、司は少し怖かった。だが、配属が決まった以上いずれは顔を合わせなければいけないのだ。遅いか早いかの違いだけで、結論は変わらない。
手の平に変な汗をかいてしまい、ズボンで拭いた。
「行きましょう」
絞り出した声は、自分でも分かるほど緊張していた。緊張の理由を察したのだろう。志紀が緩く苦笑する。
励ますように司の背中を叩き、志紀はまだ険しい顔をしている司令官に向き直った。
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