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日本の地図が消え、今度は校章のような画像が表示された。
シールド型の中に赤と黒と黄色のストライプ。星が五角形に配置されているエンブレム。志紀が持っていたものに描かれていた学生証にあったものと同じマークだ。どうやら、これが校章であるらしい。
アルゴノーツ。
知識は言っている。
アルゴノーツとは、ギリシア神話の長編叙事詩に登場する英雄たちの総称なのだと。彼らはイアソンに率いられて巨大なアルゴー船で数々の航海をする。
様々な困難を乗り越えて。
なるほど、現状を正確に捉えている。
涼の説明は続く。
「本部は最も被害の少なかった第八ブロック――貴方の感覚で言うのでしたら、群馬県にあります。
なりふり構っていられる状況ではないので、当校は徴集制です。ですが、徴集時期により年齢に差が出ますので、年上の下級生がいたり、年下の上級生がいたりします。同じ学年に様々な人間が集まっている寄せ集めが、アルゴノーツという戦闘育成学校の全容です。
当校があるは各ラインの中でも最前線、ボーダーラインA。かつては東北と呼ばれていたエリアです
ここまでは理解できましたか?」
確認をするというより、念を押すような問いに、首を縦に振る。正直実感はないが、そういう世界なのだと飲み込むより他が無かった。
司の首肯を見て、更に涼が端末を操作した。
次に出てきたのは、階級図、だろうか。どこかフローチャートにも似ている。四角の中にはそれぞれ《イント》や《レイア》などと書かれている。筆頭にあるのが、《ベクター》だった。
「小隊編成は全てテストで測定します。実技、座学、その両方をクリアした者の中から、最大五人ピックアップし、小隊を組み上げます。
手前味噌ではありますが、我らベクター小隊は、成績トップクラスの人間しかいません。特に、リーダー機である遠坂先輩は、入校以来全ての項目において一位を取っています。永岡さんは実技においては遠坂先輩の次に長けています。月見里君は全てを平均的にこなしますが、それが全てハイレベルなので、当小隊に一年でありながら入隊してきました」
そこまで言って、涼はようやく司を見る。
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