猥褻の定義について 先生の見解

「こんばんわ〜」


翌日、いつものように仕事帰りにbarの扉を開けました。


「おぉ〜てのちゃん!足の裏舐められたんだって??」


私の顔を見るや否や、カウンターのいつもの指定席から先生が満面の笑みでこちらを見ておりました。先生は某大学で教授をなさっている60代の弁護士さんでございます。もちろんこのbarの常連さんです。そしてもちろん紳士でございます。スポーツ、絵画、文学、芸能、科学、などなど全方向を包囲する先生の豊富な知識はいつも私の好奇心と知的欲求を満たしてくださいます。


「!!もうご存知ですか!?」


「今、ママに聞いたよ」


満々の笑みでございます。


「あんなぁ、昨日、社長なぁ、あんたからの電話で腹抱えて笑てはったで。大丈夫やったんかいな?けったいな人おるもんやなぁ〜」


ママ、ご心配いただき感謝いたします。しかしなごら目が笑っておりますよ…!!!


「てのちゃん被害届出した?出すなら一緒に行こうか??」


被害届。。。またイケメン刑事(とは限りませんが)に根掘り葉掘り聞かれて専門用語に翻訳されながら何時間も時間を取られるのか。。。(被害届については『下着泥棒。』をお読みください)


「手口が巧妙だから他にもやってるよ」


「わたしもそう思います。。けど、これは何の罪になるのですか?」


先生曰く

「まず猥褻の定義が難しい。例えば、胸や尻を触ったならば間違いなく猥褻罪。ただ、足の裏でしょ??これが腿なら、猥褻罪で大丈夫なんだけど、足の裏でしょ??足の裏を舐める事が猥褻になるのか??そこが難しいんだよ」

「太もも触ったら猥褻なんですよね?」

「そうだね」

「同じ足ですよ?」

「一般的に足の裏を見て性的興奮を覚えないって事なんだよ」

「それは人それぞれ癖の問題ですよね?」

「そこが法律の難しいところだよね」

「犯罪を犯す人だから、一般的な人とは違う癖を持ってるんじゃないですか?」

「そんな事はないと思うよ。言わないだけで、変わった性癖を持ってる人はたくさんいるよ」

「では、猥褻罪でなければどんな罪になるんです?」

「まず傷害罪。けど、これはこれで舐められただけでは難しい。噛まれて傷があるとか、掴まれて圧迫痕があるとかあれば別だけど。1番、簡単なのが迷惑防止条例かな…」

「なんだか納得いかないんですけど…」


「それにしても、足の裏でしょ??どうしてそうなるの。犯人もどうかしてるよね。ワハハハハハ。ほんとてのちゃん、待ってるよねぇ。そのうち捕まるよ。ワハハハハ」


「ほんま、みんな笑いはるなぁ。せやけど、怖かったやろ〜」

とママ。いやいや、そう言うママも笑ってますからっっ!!


わたし以外の被害者の皆様も笑われてるのでしょうか。。。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

妖怪 足舐め あひみての @makotrip

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ