え?笑うやつ??

ピッカピカのセルシオが走り去るのを見届け、私はすぐに先ほどまで一緒に飲んでいた社長に電話をしました。


「どうした?」


「まだ店ですか?」


「そやけど?」


「私、今、足舐められたんですけど、その車がそっち方向行ったんで捕まえてください!」


「はぁ??足舐められたぁ?」


この時点で、私はこの社長が店から飛び出てセルシオの前に立ちはだかり、困り顔さんをボコボコにする姿を想像しておりました。しかし、現実は…


「あーしぃ 舐められたぁ?うひゃひゃひゃひゃ。ほんまけ?うーひゃひゃひゃひゃ。ぐふぅ。ガッハッハ。そんな事あるんけ?ひーーガッハッハハッハッ」

おそらくあまりにも大爆笑するものですから、ママがどうしたの?と聞いたのでしょう。

「こいつな、足舐められた ぐはっ!いうてんねん!ぐわっはっは」


もう、話になりません。私の予想とは180度違う反応です。北海道に行くつもりなのに沖縄に着いたくらい違います。


「ははは。もう、大丈夫なんで帰ります…」


スマホの向こう側に響き渡った大爆笑はまだ続いているのでしょうね…と、気持ちの悪い感触が残る左足を引きずりながら、家路に着いたのでございました。もちろんすぐにバスルームに走り込み、ゴシゴシゴシゴシ洗ったのは言うまでもありません。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る