新陽通り商店街ワルツ

作者 深水千世

15

5人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

――

商店街は、暮らしの中で身近な存在だろうか?
そうでない人が多いのではと、経験的に思う。
往時のにぎわいを保つ商店街はどこにもないだろう。
新しい形で活性化に成功した商店街はあるけれども。

本作は、昔ながらの写真屋3代目が本屋店主である親友と共に、
つまずきながらも商店街の活性化に奔走するストーリーだ。
老いた両親、彼を取り巻く商店街の面々、バーを営む親友、
そうした登場人物のひとりひとりが生き生きと描き出される。

不倫の恋に破れて故郷の北海道に舞い戻った主人公、憲史。
生まれ育った商店街では皆、「厳しい状況だ」と愚痴をこぼす。
実家や親友たちの店を手伝い、商店街の理事会に顔を出すうち、
憲史は、動こうとしない商店街の古株勢に苛立ちを覚えるが──。

仕事、家族、恋、友情と、21世紀的な地域のつながりのあり方。
多様なテーマが提示され、憲史の奮闘や葛藤を通して描かれる。
前に進もうと勢いづく勇気、変わらぬものを守り続ける勇気、
人と向き合うこと、自分と向き合うこと、居場所に気付く瞬間。

商店街の人間模様に加え、冬から夏へと移ろう季節感がいい。
私は九州の生まれ育ちなので、寒い地域の暮らしを知らない。
冒頭にサラリと書かれた雪かきの描写ひとつ取っても興味深く、
時おり差し挟まれる道産子訛りをこの耳で聞いてみたくなった。

それと、地元産ジャガイモのコロッケがおいしそうでした。
洋子さんのコロッケを店先で、はふはふしながら食べたい。

★★★ Excellent!!!

――

非常に完成度の高い作品です。斜陽の商店街を舞台に、主人公は不倫の恋に敗れたばかりの写真屋3代目。
派手なことをするわけではないのですが、商店街という舞台から必然的に増える登場人物たちを魅力的に生き生きと描き、ほろりとさせる作品です。

心のどこか柔らかいところがふんわりと暖かくなるような、大人の成長物語。

★★★ Excellent!!!

――

一話、たった一話目を通しただけで「これは!」と思いました。

当然のことながら、滞りなく、流れるように整備された文章。
そして何より、主人公の目に映るもの。そのひとつひとつに対する主人公の思考やエピソードが有機的に絡み合い物語をあるべき方向に進めていく様は、書く側の人間として、本当に見習うべきだと感じます。


プロの方に対し、生意気ながらレビューさせていただきました。
カクヨムを利用する方々に、ぜひとも読んでいただきたい作品です。

★★★ Excellent!!!

――

まだ途中ですが、北海道の小さな商店街に戻った憲史の物語がどのようになっていくのかとても楽しみです。

行ったことのない場所なのに何故かとても懐かしい感じがします。故郷を離れて暮らしている方は多いと思いますが(帰る場所)があることは良いなあと胸がいっぱいになりました。

私は在米で、昭和の頃の日本の小さな商店街や市場の様子がよく夢に出てきます。そんな優しいセピア色に包まれているような作品だと思います。