一旦のエピローグ

一旦のエピローグ

 ちゃんと東から昇る朝日に照らされながら『インボルブメンツ』の看板の前に並ぶ。


「今回のは久々の大型依頼よ。みんな気合い入れてね」


 言いながらリバーブは書類を確認する。


「あれだけ寝たから大丈夫だよ」


 ブラーが笑う。笑ってるのがわかった。


「あの、改てお願いします」


 あたしはみんなに頭を下げた。


 そして上げた時に、不意に暖かい肌触りがした。


 見ればホレイショが長い鼻をあたしの顔に擦り付けていた。


 今日からあたしは、正式にメンバーだ。思いながホレイショを撫で返した。


「あのーーーーいーかげん無視するのやめて頂けませんか?」


 ……何か聞こえた気がするけど聞こえない。


「ねーってばリバーブー」


「切っ掛けは私たちでも、拗ねて放火するような奴の声は聞こえないわ」


「だからーあれはーこのクソ馬がーランタン蹴り倒したんだよー」


「レット、話せないホレイショのせいにするのは良くないよ」


「うるせーブラー、先ずは信じよとお前の宗教は歌ってんじゃねーのかよー」


「日頃のお行いが悪いからですよ」


「んだと新入り。お前は感謝云々の前に目上に対しての尊敬がだなー?」


「あ、そうだ。レット、暫く忙しくなるんだし、今の内にトルートさんへの誕生日プレゼント買っといたら? ホワイトさん心配してたよ?」


「おいブラー!」


「え? あたしの誕生日はまだまだ先ですけど?」


 答えようとするブラーの首をレットが締める。


 それを軽々とブラーは引き剥がした。


「だってレット、僕にママって呼ばるの、嫌いみたいだしさ」


 言葉に、固まる。


「……まってブラー、それってつまり、レットのお母さんって、トルートって言うわけ?」


 リバーブの言葉にブラーは目をパチクリさせる。


「言っちゃまずかったかな?」


「ブラーてめーブラー!」


 レットの慌てぶりから、どうやら間違いなさそうだ。


 ……………………へぇ。


「んだよ新入り!」


「違いますレット。正式にメンバーになったんですから。あたしのことは名前で呼んでください」


「あ?」


「名前で呼んでくれるなら、その後に赤目銀髪ポニテ巨乳色白の趣味丸出し女と繋げても構いませんから」


「いらんこと覚えやがって、俺を揺するたぁいー度胸だなおい」


「はい出発よトルート」


「今日も頑張ろうねトルート」


「おめーらもいーかげんにしろ!」


 喧しく騒がしく、あたしたちはギルドを出発した。

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インボルブメンツ 負け犬アベンジャー @myoumu

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