第2話
結局、にらめっこでは納得いかなかったヘラジカは再戦を申し込む
「やあやあ!ジャガー!なぁ勝負しないか」
「えぇぇ~~」
そこで、ヘラジカ軍団との戦(ごっこ)において、このフレンズありと言われるライオンのもとへ相談を持ち掛ける。
「あ~やっぱりだめだっかかぁ」
こうなることは予想していたのかあきらめ気味のライオン。
「えぇ~~またこうなるってわかってて、あんな勝負させたのか」
「いやぁそうじゃないんだよ、ヘラジカの根性っていうか、執念深さってのにはさ、いままで正直参っていたんだよ。
だからあれぐらいじゃ収まりつかないんじゃないかなって言う予想はできてたんだ、めんごめんご」
「はっ!ライオンを参らせたぞ!」
得意げなヘラジカ
「しかし、こう何度も勝負を挑まれたら、いつになったらジャングルに帰してもらえるかわからん」
「う~ん、じゃあやっちゃう?戦ごっこ」
「おぉ!いいな久しぶりにやるか!」
「え?え?勝手に話を進めているようだが…そんなのこんなところ(ゆうえんち)でやるのか?」
「そうだねぇ…じゃ、行こうか。へいげんちほー」
「えぇ~~~」
「だいじょぶだいじょぶ移動は~ニッポニアニッポン通運にお願いするからさぁ」
「それならば、私は先に行って戦準備をしているぞ!」
そう言ってヘラジカは
「ハシビロコーウ!!!」
天高く雄たけびを上げるヘラジカ、どこからともなく飛び来るハシビロコウ。ヘラジカを背中から抱いてふわりふわりと飛び上がる。
「ハハハハハ!ハーハハハハハ!!」
高笑いを上げて飛び去って行くヘラジカとフライトユニット化したハシビロコウ
「…その、ヘラジカ様…ちょっとうるさいです」
「行っちゃたね~それじゃこっちも…」
そう言って、トキのところへやってきた。
「そう…へいげんまで送ってほしいのね。じゃ、ちょっと待ってね。」
のどの調子を整えるトキ
ニ○ツーのペリカン便~♪
「じゃ、行きましょ」
コマーシャルソング(?)を歌って満足げなトキ
トキとショウジョウトキにそれぞれ抱えられて飛び立つライオンとジャガー
ライオンの城に入城する二人、最上階の間で、作戦会議を始める。
「それじゃあさ、オーロックスとオリックスはいつもどおり門前まで出てテキトーにやっつけちゃっててよ。ツキノワグマは、また城内をうろうろしててよ。」
「そんで―ジャガーだけど、今回は大将やってもらうから。
…で、毛皮を交換しよう。そうそう、この毛皮ね取れるんだって、キツネたちが言ってたんだよ。それをね、ジャガーのやつと交換して~それで~ジャガーにはこれ…」
ワラでできたウィッグを渡した。
「それで、こっちはタテガミを後ろで縛って、まとめた後ろ髪を服の中に入れちゃおう…よし、これで完成」
「これで、ライオンに見えるか?」
渡されたウィッグを頭の上にのせて、ボッサボッサとボリュームをつけた。
「おーおー上出来上出来。それで、ジャガーはここ、最上階にいてくれればいいから。こっちは、下に降りてヘラジカを迎え撃つから。ま~なんとかジャガーのところまでヘラジカがいかないように終わらせるから安心してよ。」
「何から何まで…なんて言ってお礼をしたらいいか、わからないよ」
「まだ、それは上手くいってからで…ね。それに結果はどうなるか終わってみなければ『わからん』なんてね」
「そうこうしてるうちに下が騒がしくなってきたね。それじゃ、行ってくるよ~わからんわからん」
下へ降りていくライオンを見送って一人残されたジャガー
「そんなに『わからん』言ってるかなぁ…」
城内まで侵入したヘラジカが階下でライオン…改め「ジャイオン」と対峙していた。
「やあ!やあ!ついに相見えることができたな、ジャガー!尋常に勝負!」
「えっと、ところでなんなんだその恰好は?えーわからん」
「ふふふ、シロサイから借りてきた鎧を着こんできたんだ。デラックス超合金ヘラジカスペシャルとでも呼んでもらおうか!」
「それって、ルール上いいのか?わからん」
「わからんのならば、行くのみ。ちなみにシロサイは鹿の角がついた鎧兜を着て出てもらってるよ。今頃、オーロックスたちは私だと思って足止め食ってるだろうさ。」
「ずいぶん知恵を付けたね、ヘラジカ軍は…カバンの影響かな?」
っと、言いつつ先制攻撃を繰り出すライ…ジャイオン
しかし、紙風船はヘラジカの背中に装着してあり、硬い装甲に阻まれて紙風船を割ることができない。
「ん?妙だな、太刀筋が…」
戸惑っているヘラジカに間髪入れずに連続攻撃を繰り出すジャイオン
紙巻棒で風船をかばいつつ
「お前やっぱり、ライオンだな!」
「な?何を言ってるのかわからんよわからん」
「わからないはずがない!私が唯一好敵手と認めたライオンの技を見間違うわけがないだろう!」
「…えっ」
『私のライバルと呼べるのは、ライオンお前だけだ』
(個人の感想であり、実際の音声と異なる場合があります。)
ずきゅーーーーん
「先ほどからずっとライオンの匂いがしていたのだが、剣を合わせたときに、その髪からライオンのにおいがしたよ。」
「…ええっ」
『シャンプー変えたんだね。いいにおいがするねその髪』
(ライオンの幻聴であり実際の音声と異なる場合があります)
ずきゅーーーーん!
紙巻棒の剣を取り落としてしまうジャイオン(もうばれたからライオンでいいか…)
その隙を見逃さず
「もらった!!」
ヘラジカの一閃!ライオンの紙風船がはじける。
「らしくないな…どうした?ライオン」
「…ずるいよ。あんな飛び道具使うなんて」
「何を言っている。武器はこれだけだぞ。」
言って、紙巻棒をブンブン振って見せる。
「とにかく、ジャガーは上にいるんだな?」
そう言って、奥の階段を昇っていくヘラジカ
なぜか満足げなライオンを置いて。
最上階まで登ってきたヘラジカ
「やあやぁ…」
と言ったきり息を切らして立ちつくしてしまう。
「ハァハァ…やっと、会えたな、ジャガー…じゃなかった、えっと『ライガー』?」
「それだとライオンとトラの間の子になるんじゃないのか?タイゴンだったかな?わからんが」
「どっちでもいいが、すまないがこの鎧、重くて…ちょっと脱ぐの手伝ってくれないかな?」
「えぇ~?まぁ…仕方がない、わかった」
そう言って、ジャガーはヘラジカの鎧を脱ぐのを手伝った。
「その背中の金具が一人じゃ外せなくて…」
「えーとどれだろう、わからん…」
「もう少し上のほうだな…そうそうもう少し」
ビリっ!
「あっ…」
「お?どうした」
「ええと、爪が引っかかって、風船が…この場合、勝負の続行は…」
言われて、膝を落として倒れこむヘラジカ
「ぐぇぇぇぇ……」
「風船割られたらココまでするのか?わからん、この人たちの本気度がわからん…」
ライオンのところに、鎧の部品を抱えて降りてくるジャガー。
後から、のそのそと力なく降りてくるヘラジカ。
ジャガーの風船が健在なことを確認したライオンは
「勝ったの?ジャガーが?」
その場に大の字になって仰向けになるヘラジカ
「このヘラジカ、策に溺れるとは情けない」
「どうやら勝ちってことで良いようなので、やっとジャングルに帰れそうだよ」
「確かに、さすがのヘラジカも今回はすぐには立ち直れそうにないね~」
「いや~今回は楽しませてもらったよ~満足満足。でもさ、またいつでも戦ごっこ手伝ってよね~」
「えぇ~しばらくは勘弁してほしいけど、またいつかね」
そう言って、ジャガーはジャングルに帰って行った。
ジャガー!勝負だ! 小咄よしひろ @kobanasi_yosihiro
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