ジャガー!勝負だ!

小咄よしひろ

第1話

「やあ,カバンちゃん今ちょっと良いかなぁ。」

かばんの元へライオン,ヘラジカ,ジャガーの3人がやってきた。

「はい,みなさんどうしたんですか?」

「実はさぁ,ジャガーがねヘラジカに勝負を挑まれて困っているんだよ。」

「そうなのか?困っているのか!ジャガー」

寝耳に水といった様子のヘラジカ

「それなら止めておくか,残念残念」

「えっ?いいんですか…では,戻ってもいいですか?」そういって行ってしまおうとするカバン。

「待って待って,そう言ってヘラジカは明日になるとまた,ジャガーに勝負を持ちかけるんだよ」

「そうなのか?こまったやつだな!はっはっはー」

他人事のように笑うヘラジカ

「わかりました。でも,ライオンさんのお城みたいに何か使えそうな道具が無いと,どうでしょうか…ちょっと思いつかないですね」

「それでは,われわれの任せてもらうのです。」

そう言うと音もなく舞い降りてくる博士と助手

「「にらめっこなのです」」

声をそろえて言う博士助手

「なんか迫力無いなぁ」

ヘラジカは不満そうだ。

「何を言うのですか?我々は別に、けが人が出無いような安全な戦いを提案しなければならないわけではないのですよ。血みどろなのです」

「骨肉なのです」

「そういうことならないために、カバンちゃんに相談に来たわけだからねぇ。とりあえずさぁどんなもんか聞いてからにしようよ。」

間を取り持つライオン

気を取り直して博士が言う。

「それでは,ルールを説明するのです。助手」

「説明しよう!なのです。これはヒョウジョウの格闘技と言われているような競技なのです。お互いに顔を見合わせ変顔などをして相手を笑わせたほうが勝ち。笑ったほうが負け。また、お互いギュウニュウという液体を口に含み変顔をして、その顔に覆いをして待機、同時に覆いを外して…というものもあるようですが、ここまでしなくてもいいでしょう。

そして、これは元来『睨滅攻』と呼ばれ古代武術において…」

「もういいのです。ウソ情報もいいのです。」

「事実なのです。ミンメイショボウなのです。」

抗議する助手。しかし、この物語はフィクションであり…(以下略)

「…とにかく、危険はなさそうで安心したよ。どうかなジャガー、ヘラジカ?」一応のルールを聞いたライオンはジャガー、ヘラジカに同意を求める。

「どうなるかわからんが、とりあえずこれでいいんじゃないか…」

と、ジャガー

「私は何でも構わないぞ、勝負できるならな!挑まれた勝負からは決して引かない!それがヘラジカ軍団!!!」

言ってポーズを決めるが一人である。おまけに挑んできているのはヘラジカのほうだというのもお忘れなく。

「では、決まりなのです。せっかくたくさんのフレンズが集まっているのだから大会にするのです。」

と、さらりと大事にする博士。


「それでは始まりました。第1回ゆうえんち杯争奪にらめっこ大会!!審査員・実況を務めさせてもらいます。いい顔もらえると聞いてたまらず駆けつけたタイリクオオカミです。解説はこの二人…」

「アフリカオオコノハズクの博士です」

「助手のワシミミズクです」

「お二人は参加しないでいいんですか?」

「我々はクールなので。変顔とかしないので」と、助手

「賢い我々は、争いを好まないのです」博士も続ける

「勝負の内容を決めるときに不穏なことを言ってたようですが…まぁいいでしょう」


「では対戦相手をくじ引きで決めてもらいまして…1回戦はカバさん対カバンくん」

「大口勝負なら負けられないわね」とカバ

「なんでぼくも参加させられてるんですか…」何やら成り行きで参加させられていたカバン

「…それでは、はじめましょー、笑うと負けYO!UP UP POOOOOOOW!!!!」

合図とともに大口を開くカバ。

その様に驚いて

「ぁぁああ食べないで食べないでくださいぃぃぃ」

恐怖に歪んだカバンの顔を見たカバが思わず吹き出してしまう。

「カバ…アウトーーー」と、ジャッジが下される

「カバンくんのいい顔いただいてしまったね。それでは勝ったカバンくん何か一言」

「僕は何もしていないんですけど…本当に食べられちゃうかと思いました。」


「続いての対戦は…これは優勝候補か?ハシビロコウ!対するは、アイドルは笑顔が資本PPPからフルルー…って笑っちゃったら負けだけどね。さて、解説のお二人どんな戦いになると思われるでしょうかね?」

「ハシビロコウは確かに強敵なのです」

「しかし、相手を笑わせなければならないということを考慮すると、睨んでいるだけというのはいかがなものかとおもわれるのです。」

「なるほど!では、2回戦まいりましょー、笑うと負けYO!UP UP POOOOOOOW!!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「両者、動きません…ハシビロコウは相手をにらみつけたまま、フルルは宙を見上げたまま微動だにしません…」

「これは予想外なのです…いや、予想はできたのですが」

「これは、制限時間を設けるか、ギュウニュウを口に含むバージョンで行くべきだったかもしれないのです」

「あ、なにやら少し動きが…フルルの顔に若干陰りが…」

きゅ~~グゥゥゥ・・・・

「こ・れ・は?おなかの虫、フルルお腹がすいてしまったか?」

客席が笑いに包まれる。…しかし

「見るのです、ハシビロコウは微動だにしていないのです。」

「はぁ…我々もお腹がすいてきてしまったのです。争いは不毛なのです。」

そんなこんなで、にらめっこ大会と称した茶番は幕を閉じた。

「ふむぅ、戦とは、勝負とは不毛なものなのか…」

何やら感じ取った様子のヘラジカ

「そうだよ~勝負勝負ってめんどくさいしさぁ、つかれちゃうじゃない?まぁ不毛かどうかは「わからん」って感じだけどね…あ、ジャガーの決め台詞とっちゃった」

「えぇ~~別に決め台詞じゃ無いんだけど。そういうキャラになっているのか?わからん…」

そんなこんなで日が暮れていった。


次の日

「やあやあジャガー!なぁ勝負しないか」

「えぇぇ~~」

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