第9話エピローグ
春。桜の季節。
俺は桜が好きだ。彼女が見たがった桜の季節が。
毎年新しい桜ソングが生み出される。きっと、現代に生まれ変わった彼女も、それらを口ずさんでいる事だろう。
ひらりひらりとこぼれ落ちる花びら達。
その花びらをすくい上げ、新たに離れた花びらとともに彼女に贈り届ける。
一年前のあの日、生まれ変わった彼女がこの学校に入学してきた。校門脇の桜の上で俺はそれを見ていた。
一目で分かった。見た瞬間、忘れていた『愛しい』という気持ちを呼び覚まされた。……狂おしいほどの、この思いを。
思い出して欲しい…。けれど、前世の事など思い出さずに、今を自分らしく生きて欲しい。俺の心が揺れる度、桜が、風が、花びらを舞い踊らせる。
彼女が桜を見上げる度に、俺は気持ちを花びらに乗せ、彼女を包み込もう。いつまでも、いつまでも愛している……。
桜音 ~sakuraoto~ 銘尾 友朗 @meibi-tomolou
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