11#猟犬が風船で繋ぐ絆
時は過ぎた。
ポチとパートナーは、とある半島で大繁殖して生態系を荒らす外来種のキョンを群れごと仕留める猟に参加していた。
カイザーの亡骸は、ポチのパートナーが巨大イノシシの堕ちた崖の側に、ポチに持たせて割れた風船と車にこびりついた劣化した風船を剥ぎ取って一緒に埋め、その上に石を重ねて墓にして手厚く葬った。
・・・カイザーよお、お前の身体はもう此処に無いけど、心の中で何時でも遊べるからね・・・
ポチはそう思うと、鼻を突き上げて空をを見上げた。
「ん?あれ?君は・・・?」
ポチは、側に顔見知りの猟犬が居たので声をかけてみた。
「よお!!何ボケーッとしてんだ?」
「ぎょっ!!ビックリした!!お前も来てたのかポチ!!」
「おいっす!!自称『名うての特定外来種ハンター』セルパ!!」
「『自称』ってなんだよぉー!!『自称』って!!」
「まあまあ、落ち着いて!!本当、あの時岩にぶつかってピクリとも動かなかった時は、死んじゃったと思ったよ!!生きてて良かった!!」
¨「勝手にひとを殺すな!!俺だって、あれから病院で療養中でさあ。退院後はスランプもまああったが、今じゃ今までよりパワーアップした『超名うての特定外来種ハンター』のセルパちゃんよぉ!!」
セルパはそう言うと、満面の笑みを浮かべた。
そのビーグル犬のセルパの笑顔はまるで、ポチには膨らませたての光輝く風船のように見えた。
「『名うてのなんちゃらハンター』のセルパちゃん!!この猟が終わったら、一緒に風船で遊ぼうか?」
「風船?割れる音怖いけど・・・いいよぉ!!じゃあその遊ぶ風船、今度俺が口で膨らませようか?割れる音怖いけど。」
~ポチとカイザー~猟犬と野犬の風船~
~fin~
ポチとカイザー~猟犬と野犬の風船~ アほリ @ahori1970
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